部下の持ち味を知り、「強み」と「弱み」を共有する
■「強み」を十分認め、「弱み」をフォローする
以上を踏まえて、シート右側・中段の本人の「強み」(長所)と「弱み」(短所)について対話を進めます。上司が感じている内容はあらかじめ記入しておきます。
部下からすれば、いきなり「あなたの強みは?(弱みは?)」と尋ねられても答えに窮します。そこで、まず本人の「持ち味」に着目しましょう。これまで自分で成果が上がったと思う仕事や、好きな仕事は何か、反対に苦手は何かなどの話題から入り、対話を深めます。本人の持ち味への光の当て方によって、強みや弱みが浮かび上がってくると考えるとよいでしょう。
ここでは、まず部下本人が自覚する強みと弱みは何か、自己認識を開示させることが第一です。そのうえで、上司としての評価も伝え、双方の認識や思いをすり合わせていきます。本人が気づいていない強みは具体的に伝えて、励まします。また弱みについては、往々にして強みと表裏一体であることも多いので、個性でもある旨を伝えると、前向きに捉えることができます。
部下の強みはさらに伸ばし、弱みは本人の努力と上司・同僚の協力で補強していく姿勢が、「支援型マネジメント」の原則です。すでに面談での対話から、部下への動機づけがスタートしています。部下自身の思いや自己認識の傾聴に努めながらも、適切なアドバイスや励ましによって、上司と部下の信頼関係の基礎をつくっていくことが大切です。
次回の〈後編〉では、こうした面談プロセスを踏まえ、上司からの将来への期待と本人の希望をすり合わせながら、いかにチームの一員として前向きな動機づけを図るか、解説していきます。(前川孝雄)
※マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力〜『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。