メタ、ガバナンスにメスが入る可能性も......
巨大SNSが抱える個人情報に規制を加える動きは、すでに起きている。その引き金を引いたのは、意外にもメタと同様に米巨大IT企業の一角を占めるアップルだ。
2021年4月に提供を始めたiPhoneの基本ソフト「iOS14.5」では、端末ごとに割り振っている識別情報の利用を事前承認制に変更した。これによって複数の企業がそれぞれ提供するアプリを横断して利用者の行動を捕捉しにくくなり、利用者の嗜好に応じた広告の配信が難しくなった。
この10月25日にフェイスブック(当時)が発表した7~9月期の売上高は市場予想を下回り、記者会見で幹部は「iOS14.5」を名指しして「最大の逆風になった」と嘆いたほどだ。
創業以来最大の逆風にさらされているメタ。ホーゲン氏は、米証券取引委員会(SEC)にも資料を提供して調査を要請しており、SECの判断次第では経営体制も含めたガバナンスにメスが入る可能性も指摘されている。
成長の踊り場を越えて、メタバースでさらに発展するのか、それとも盛者必衰なのか。カリスマ経営者として知られるザッカーバーグ氏は、まさに正念場を迎えている。(ジャーナリスト 白井俊郎)
※ メタバース
SF作家のニール・スティーブンソンの著作「スノウ・クラッシュ」(1992年)に登場するインターネットの上の仮想現実空間のこと。異なる次元、観点からという意味の「meta」と、宇宙を表すユニバース(universe)の合成語。