複雑怪奇で高すぎるガソリンの税金
そもそも、日本のガソリンにかかる税金は諸外国に比べて複雑なうえ、高すぎるという批判が根強くある。かなりややこしいが、税金の仕組みをざっくり説明しよう――。
ガソリンには、1リットルあたり「ガソリン税」が53.8円、「石油税」が2.8円かかる。「ガソリン税」は、地方自治体にまわる「地方揮発油税」5.2円と、国の「揮発油税」48.6円の2種類に分かれる。この2つを合わせて「5.2円+48.6円=53.8円となるわけだ。
「石油税」は「石油石炭税」とも呼ばれ、石油備蓄や石油代替エネルギー対策などに使われる。この「石油石炭税」に最近、「地球温暖化対策のための税」が上乗せされることになった。その額は1リットルあたり2.8円だ。
こうした税の上にさらに「消費税」がかかってくるから厄介だ。消費税は、「ガソリン税」「石油石炭税」「温暖化対策税」を含むガソリン価格全体に課税される(現在は10%)=左の図参照。これに関しては税金がかかっているうえ、さらに消費税を課す「二重課税」だとして問題視する意見がある。
日本の石油精製・元売り会社の業界団体である石油連盟も、2018年の消費増税時には、「二重課税」に反対して税制改革を求める決起集会を開いた。しかし、政府側は、「ガソリン税と石油石炭税はガソリンの製造コストにかかる税であり、二重課税には当たらない」と突っぱねたのだった。
つまり、ガソリン税と石油石炭税は石油業者が工場から出荷するときにかける税であり、消費税は利用者がガソリンを買う時にかける税だから、二重課税ではないという理屈だ。
ただし、その製造コストにかかる税金分もガソリン価格に転嫁され、結局は利用者が支払うことになる。
いずれにしろ、図からわかるように、小売価格が1リットル153円の場合でも、本体価格は82.29円で、税金の総額は70.71円となり、支払う額の約46%が税金ということになる。アメリカでは州によって異なるが平均24%ほどだ。