日本にあった革命的技術
「週刊エコノミスト」(2021年11月9日号)は、「これから来る! 脱炭素 DX技術革命」と題して、脱炭素の「技術革命」がもたらす明るい側面に光を当てている。
日本政府は脱炭素とDXによる成長戦略を掲げる。その駆動力となる日本発の「革命的技術」を紹介。その中でも驚いたのが、NTTが省エネ・微細化の限界を突破した「光」半導体の実用化にめどを付けたというレポートだ。電子によるデータの処理と「光」による通信伝送をそれぞれ担う機能を接合させることで、消費電力を従来に比べて桁違いに効率化させると同時に、データ処理の超高速化への道を開く「光電融合」の技術だ。
これを中核技術として、ネットワークから端末、半導体などのデバイス群のすべてに光ベースの技術を導入し、従来にないサービスを実現する「IOWN」(アイオン)という構想を提唱している。NTTの澤田純社長は、「社会に変革を促すゲームチェンジになるだろう」と話している。日本の半導体復活の最後の好機、という見方もあり、期待がふくらんだ。
矢部孝・東京工業大学名誉教授が発明したマグネシウムを使った次世代電池も製品化にこぎつけた。マグネシウム電池はすでにあるが、先行品とは桁違いの性能があるという。また、マグネシウムは海水から無尽蔵に取り出すことができるため、再生可能エネルギーの理想的な循環社会が実現する可能性もある。
このほかに、京都市のロボットベンチャー「テムザック」が開発した一人乗り電動車両「ロデム」など、国産の技術開発をさまざま取り上げている。
脱炭素は日本の企業にとって、さまざまなハードルである一方、成功すれば、計り知れない恩恵をもたらすことを、週刊ダイヤモンドと週刊エコノミストの両誌の特集が教えてくれた。