じわり値上がりの東京ガス、大阪ガスとの違いは?
同業他社も同様の理由で株安が進んでおり、東京ガスや東海地方で営業する都市ガス3位の東邦ガスも10月下旬に年初来安値を更新した。東京ガスに至っては28日に2012年6月以来、約9年4か月ぶりの安値を記録した。
ただ、東京ガスはその10月28日の取引時間中に2021年9月中間連結決算と同時に発表した業績予想の上方修正と増配が「想定外」(SMBC日興証券)と好感を呼び、この日つけた年初来安値から一時、一気に133.5円(7.2%)高の1988.0円まで上昇、29日以降もじわじわと値を上げている。米豪で手がけるプロジェクトで利益が増えることや調達の効率化、液化天然ガス(LNG)のトレーディング益の増加が上方修正の要因だ。
大阪ガス同様、ガス販売価格への転嫁のタイムラグはあるものの、他事業で一定程度補えると見立てたようだ。とはいえ、東京ガスの株価はそれでも今年3月29日につけた年初来高値(2579.5円)にはるか遠い。 各社ともエネルギー高の負の影響を拭い去るにはもう少し時間がかかりそうだ。
(ジャーナリスト 済田経夫)