東証2部に上場するツインバード工業(6897)に注目しました。
同社は「ものづくりの町」として有名な新潟県燕三条に所在する企業であり、事業は主に掃除機や冷蔵庫といった家電製品事業、そして同社が独自技術を駆使し、量産化に成功したFPSC(フリーピストン・スターリング方式冷凍機)を使用したFPSC事業の二つに分けることができます。
成長の要因はFPSC技術にアリ!
ツインバード工業は2019年2月期~21年2月期にかけて売上高、営業利益共に上昇しており、特に営業利益では19年2月期 → 21年2月期で5.4倍と高収益化に成功していることがわかります。
今期も、7月8日に業績予想の上方修正を出しており、その予想される営業利益は2021年2月期のさらに1.5倍となっています=下図参照。
こうしたツインバード工業の成長にはどのような理由が隠されているのでしょうか。
その最も大きな理由は、FPSC事業の成長です。FPSCは環境にも優しく、冷却力が非常に強い冷凍機であるのですが、2004年にツインバード工業が量産技術を確立した後も量産効果が見込める程の需要には恵まれておらず、FPSC事業が黒字化に転じたのは14年のことでした。
参考リンク「『宇宙冷蔵庫』誕生秘話―― ツインバードの冷蔵庫はいかにして宇宙へと羽ばたいたのか?」(IT media news 2014年4月11日付)
しかし、今年10月7日に発表された2022年度2月期、第2四半期決算短信を見るとFPSC事業の売上高、セグメント利益はそれぞれ約12倍、31倍となっています。この最大の要因となったのが、新型コロナワクチン用フリーザー需要です。新型コロナワクチンは遺伝子ワクチンと呼ばれるワクチンであり、非常に低温での保存が必要であったため同社のFPSC技術を利用したクーラーの受注が大量に入ったのです。
好決算はコロナ特需による一過性なのか?
現在、ツインバード工業の株価は800円台と年度最高値の2395円の3分の1近くになってしまっていますが、これはコロナ特需が一服したと考えられているからです。
しかし、新型コロナウイルスのワクチンのようなバイオ医薬品には、従来の低分子医薬品よりも厳格な温度管理が必要であり、そのバイオ医薬品の2019年から26年の平均成長率は10%近くとされています=下記の参考リンク。
したがって、医薬品におけるコールドチェーン(低温物流)分野の成長は今後も続いていき、今回のコロナ禍におけるコールドチェーンの構築実績を持つ同社は、今後のさらなる成長を期待できると判断しました。
参考リンク「バイオCMO/CDMOの強化について」(経済産業省)
しかし、10月25日に新商品を11月に発表するというIR情報を発信したことで、一時ストップ高になったものの、翌26日には再び8%ほど株価が下落しており、今後の動向を読むことができない状態となっています。
そのため、再び上昇トレンドになったと判断するまでは購入を見送りたいと思います。
ツインバード工業(6897)
年初来高値(2021年 1月27日) 2395円
年初来安値(2021年10月25日) 788円
直近の株価(2021年10月29日) 849円
購入を見送り。
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