「主婦には『社会と関わりたい』という純粋な思いがある」
――この論争の背景には、働きたいのに専業主婦にさせられる問題がありますが、川上さんが研究顧問をされている、働く主婦層を支援する『しゅふJOB総研』で、今回のテーマに関する内容の調査をしたことがありますか。
川上さん「少し違う観点になりますが、主婦が働く動機について調査したことがあります。
参考リンク:「主婦が働く動機とは? ~しゅふJOB総研総研調べ~ 今後の生活が不安 72.8% 年代別で違い。主婦が働く理由ランキングの結果は...?」( 2016年7月27日付)
主婦が働く理由は年代別でかなり特徴があります。たとえば、20代・30代では『子供の教育費のため』など収入面の理由が1位ですが、50代では5位までに下がります。一方、『社会と関わり視野を広げたいため』という生きがいの面の理由は、20代・30代では3~4位ですが、50代では1位になっています。
アンケート結果からは、多くの主婦層の意識の根底には『社会と関わり視野を広げたい』という純粋な思いがあり、年を経るとともにその思いがより強い欲求となって表れてくるように見受けられます。
投稿者さんの場合は、収入面を動機として働く人が多い世代であり、夫としては妻が働くことで、甲斐性がないような印象を世間に与えてしまうように感じたのかもしれません」
――夫の考え方は、「子どもを保育園に入れるのはもってのほか」「母親は子どもが巣立つまで家事・育児をするべきだ」というもので、義両親も含めてかなり古風です。「今どき信じられない」という批判の意見が多いです。
川上さん「私も個人的には相容れませんが、それはそれで夫や義両親の価値観や考え方として尊重されるべきなのだろうと思います。古風であること自体は決して悪いことではないはずです。しかし、保育園や子育てに対する誤解や偏見を持たれているようであれば、事実を冷静に確認することが必要でしょう」
――「自分も同じ体験をした」という女性がけっこう多くいました。夫と同じ考えの人が多いということですが、どう思いますか。
川上さん「夫や義両親のような考え方の人は、時の移り変わりと共に少なくなってはいるのだと感じます。女性活躍推進が叫ばれ、実際に社会のさまざまなシーンで活躍する女性が増えるなかで、『専業主婦しか認めない』という考え方は、現実社会の中で、実態との乖離がどんどん大きくなっていくでしょう」