はっきりと示された民意
要するに、岸田さんというトンチンカンな総理の登場は、野党からすれば最大のボーナスステージだったわけだ。たとえば立憲民主党の枝野幸男代表もこんなアピールをしていれば、結果は変わっていたかもしれない。
「新自由主義の修正? 何言ってるんですか! 安倍さんは金融緩和ばかりで実のある改革なんて何もやってないじゃないですか! 我々は中身のある構造改革をどんどん推進し、サラリーマンのために働きますよ! 医師会が何言っても高齢者の医療費自己負担ももっと上げますし、消費税は上げても社会保険料は下げて見せます!」
そういう意味でいうと、よりによって上記の真逆のスタンスの共産党と共闘する枝野さんは絶望的に政治的センスがないと思われる。
氏が代表であるかぎり立憲民主党に上がり目はないだろう。
一つ付け加えておくと、今回意外だったのは国民民主党が3議席伸ばしたことだ。代表も政策も地味だが、野党共闘路線と一線を引いたことが意外に評価されたのだろう。
今回の選挙ではっきりと示された民意は「有権者は改革を求めている」という一点だというのが筆者の結論である。(城繫幸)