投票率76.6%の背景は? 約半数が郵便投票!
ドイツの総選挙の投票率が76.6%と聞いて、みなさんは「多い!」と思いましたか? それとも「思ったより少ないな」と思いましたか?
私は、「すごい!こんなに市民の政治への関心が高いんだ!!」と心動かされたのですが、過去の投票率を見ると1979年(18歳選挙権がスタート)の91.1%をピークに減少傾向にあります。
メルケル首相が誕生した2005年の総選挙では77.7%。その後一気に投票率が落ち込み2009年には70.9%まで下がりました。しかし、ギリシャ危機、ブレグジット(英国のEU離脱)、難民問題、そしてコロナ・パンデミックや気候変動と、ドイツそして欧州が危機に見舞われるたびに投票率は上昇。今回ついに76.6%にまで回復しました。
投票率アップのカギの一つに、「郵便投票」があるようです。2017年の総選挙では28.6%だった郵便投票率が、21年は18.7ポイント増加して47.3%に! 大都市では特に郵便投票率が高く、バイエルン州ではなんと62.4%の有権者が郵便投票を選んでいました。
投票日の当日の天気や気分に左右されないし、コロナ対策の観点からも安心感があるし、ベルリン・マラソンと重なっても(今回、投票用紙の不足が発生したものの、マラソン中のために補充が大幅に遅れるなどトラブルに見舞われた投票所があったそうです)、何があっても、なくても大丈夫!
今後オンライン投票が導入されるまでは、郵便投票が重要な投票方法の一つとなりそうです。
ちなみに、投票所の数は約6万カ所で、選挙当日は約65万人の選挙ボランティアが従事しました。日本では全国に4万7000の投票所(2019年参院選)が設置されていたことと比較すると、この点ではドイツの投票環境は充実しています。