チームの成果を早く出そうとするほど成果は遠のく!? マジメな上司のジレンマ(前川孝雄)

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管理職から支援職へ ~「支援型マネジメント」を進める心構えを持つ

   変革すべき方向を先に述べれば、こらからの上司は管理職から支援職を目指すべきでしょう。リモート環境下でも、部下一人ひとりが自律的に仕事に向き合えるようにしていく、「支援型マネジメント」が求められているのです。そのためには、部下の「やる気」の構造を理解することが大切です。

   人の動機づけには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」があります。「外発的動機づけ」は、いわば外側から働きかける動機づけです。たとえば、職場の上司が業務目標を部下に一方的に押し付け説得すれば、部下は物事を強制されるだけの自分に無能感を募らせます。そして、上司の統制と管理のもとに行う仕事には「やらされ感」が蔓延していきます。

   これに対して「内発的動機づけ」は、自分の内面から湧き上がる動機づけです。まさに「やる気」の源泉といえます。これにはまず、部下に自分の仕事の目的を共有し納得させることから始めます。

   そして、仕事の目標と計画を自ら立てさせ上司が承認することで、有能感が得られます。決めた目標は部下の自己統制(セルフ・マネジメント)に任せ、上司は要所要所で支援します。こうして部下は任された仕事の当事者となり、「やる気」が醸成されていくのです=図2参照

図2:「やる気」の構造を理解する
図2:「やる気」の構造を理解する

   この「支援型マネジメント」は、部下のキャリア自律を後押しすることになり、自律型人材として育て上げることにつながります。自律型人材とは、他者から管理・支配されるのではなく、自分の立てた規律や規範に則って働き続けられる人材です。とりわけウィズコロナの厳しい時代には、あらゆるビジネスパーソンが会社依存から脱却し、自らのキャリアを探求しながら、社会に貢献できる仕事を創出しやり遂げることが必要なのです。

   こうした「支援型マネジメント」の心構えを踏まえたうえで、次回からは、リモートワーク下で求められる上司力として、次の5つの「コミュニケーションのポイント」を順番に解説していきます。

   ※マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力 ?『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。

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