ここに面白いレポートがある。投票日の10月31日はハロウィンと重なっており、ハロウィン前後に株を買うと「上がる」というのだ。
ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏が「衆院選後の株価、明暗は2週間後?」(10月25日付)で、そう伝えている。
「ハロウィン効果」は株式市場のアノマリーの一つ
レポートによると、
「株式市場にはアノマリーと呼ばれる経験則がいくつかある。『ハロウィン効果』もアノマリーの一つで、『毎年10月31日のハロウィンの時期に株価が低くな り、翌年の春頃にかけて上昇しやすい』というものだ。
昼の時間が短くなる時期は投資家が弱気になり、株価が下落しやすい一方、冬至を過ぎると投資家が楽観的になるため株価も上昇しやすいなど諸説あるが、はっきりとしたことはわかっていない」
と、株価のハロウィン効果について説明する。
そこで、井出真吾氏は日経平均株価と米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価を調べた。
「実際、2000年以降、各月末から6か月後の日経平均の騰落率(各月20回ずつの平均騰落率)を調べると、10月末から6か月が7.1%で最も高かった。上昇・下落した回数と各々の騰落率を確認すると、10月は20回のうち15回上昇で勝率トップとなった。上昇した15回の平均騰落率は12.9%だ=下の図表1参照。
米国株でも調べると、NYダウの平均騰落率は10月から6か月が5.9%で最も高かった。また、上昇・下落回数は12か月で単独トップの17 勝3敗で、当然、勝率でも10 月が最も高い結果となった」
日経平均株価の「ハロウィン効果」は12勝5敗という結果だったわけだ。
2000年以降の衆院選後、投票前より株価が高かったのは7回中3回
では、買いなのだろうか。厄介なことに、ここで衆議院選挙の結果が株価にさらに影響を与える。
井出氏が2000年以降7回あった衆議院選挙について、株価への影響を調べたところ、日経平均株価を100として投票日直前とその後の騰落をみると、株価が投票直前より高い状態を維持し続けたのは7回のうち3回のみだった=図表2。
その3回は、2005年の小泉進一郎氏の郵政解散で、「日本が変わる」と強く印象付けられて海外投資家の資金が流れ込んだ。次が2012年の民主党政権が交代し、アベノミクス始動した選挙。やはり日本が大きく変わると期待された。そして3番目は前回の2017年に自民党が圧勝した選挙。単独で3分の2議席に迫る284議席を獲得した。
一方、与党第一党の自民党が振るわない年は軒並み株価も振るわない結果に。今回は、報道各社の世論調査によれば、自民党は過半数を維持する可能性が高いが、圧勝だった前回より数十議席減らすのは確実とみられる。さて、「ハロウィン効果」に賭けるか、「自民党ジンクス」を重視するか、思案のしどころだ。
(福田和郎)