日本で、「2割司法」の状況が続いている。法トラブルに遭った人の2割程度しか満足のいく司法サービスを受けられておらず、残りの8割は法的な支援を受けられずに泣き寝入りしているというのだ。
その一方で、弁護士数は年々増加の一途をたどっている。それにもかかわらず、必要な人に必要な「司法」が届いていない、ミスマッチが続いている。
9割が無料相談、2019年度は54万件超
「弁護士白書 2020年度」によると、弁護士会などによる法律相談の件数は、2019年度に60万5655件にのぼる。
しかし、このうち有料の法律相談は6万353件。「法テラス」や「交通事故センター」、地方公共団体に弁護士会が弁護士を派遣する法律相談会などの無料法律相談は54万5302件で、じつに9割を占めている。こうした無料法律相談が、接点となっていることがうかがえる。
高い弁護士費用がかかるイメージがあることや、弁護士は離婚や労働問題、交通事故、債務の整理・回収、企業法務、刑事事件など取り扱う案件によって専門分野が分かれているため、自分に適した弁護士を探すきっかけとして、無料法律相談を使う人は少なくない。
一方、2000年には1万7126人だったが弁護士数は、2020年には4万2164万人となり、20年で約2.5倍も増えた。弁護士が増えている背景には、司法制度改革の一環としてはじまった2004年のロースクールの開校や06年の新司法試験制度の導入があるとされる。
ちなみに女性弁護士も増えており、20年3月31日現在で8017人がいる。20年前(2000年は1530人)と比べて5.2倍も増えた。
いずれにしても、弁護士同士の競争が高まってきている。
ネットが弁護士との距離を縮める
さらに近年は、インターネットが司法を必要とする人との距離を縮めている。弁護士事務所がホームページを通じて無料相談を受け付けているほか、たとえば「弁護士ドットコム」や「弁護士ナビ」のような法律問題で悩んでいる人と弁護士のマッチングを図るリーガルメディアが立ち上がっている。
「弁護士ナビ」を運営する株式会社アシロの取締役マーケティング部統括責任者、竹田津惇(たけたつ・じゅん)氏は、
「スマートフォンの普及やテクノロジーの発達に伴い、情報を検索するハードルが低くなったこともあり、インターネット上で弁護士や法律に関わる情報を得たいという消費者のニーズが高まっています」
という。
同社では、無料で弁護士に質問を投稿できる「無料法律相談Q&A」サービスの提供を9月から始めており、弁護士の「敷居」を下げるとともに、利用者にあった専門性の高い弁護士とのマッチングにつなげていく。