きょうは、50代のOさんがいらっしゃっています。
「今の20代は、きれいに残らず有給休暇を消化していくなぁっと感心しています。2019年4月から『有給休暇の義務化』が決まり、会社からも有給取得率を上げようとする動きがあります。立場上は、私はそれを管理する側なので、推進して行かないといけないんですけどね。有給休暇で取得しても、結局は持ち帰りで仕事をしていたり、特に今は在宅勤務なので、有給休暇をとっていても特別に用事がない限りは自宅にいるので、部下から連絡があれば、返信をしてしまったりと、つい仕事してしまうんですよね。なんだか休んだ気にもなれないし、仕事をしていたほうが、気が楽というか。気持ちの切り替えがうまい若い人たちが羨ましいです」
部下を育てるため、「自分だけ」の仕事を手放していく
オンライン旅行通販大手のエクスペディアが発表した2020年の「世界16地域 有給休暇・国際比較調査」によると、日本人が有給休暇を取得しない理由は、「緊急時のために取っておく」「人手不足など仕事の都合上難しい」が上位になりました。
コロナ禍の影響を受けていなかった2019年には、先ほどの2つの理由にプラスして「仕事をする気がないと思われたくない」という理由が続きました。
自分が休んでしまうことで仕事が回らなくなったり、誰かに仕事の負担が行ったりすることを気にしているという日本人のマジメさがわかります。休みを取ることに対しての罪悪感はOさんだけでなく、多くの日本人が抱えていることですね。
「有給休暇取得は権利だ」と自分のご褒美として休むことができたら、いいと思いますがなかなか、すぐに罪悪感はなくなりませんよね。
そこで、少しでも罪悪感をなくすためには、「自分にしかできない仕事」を減らすことです。自分にしかできない仕事は、自分に取っての存在価値にもなりますが、特に50代のOさんは、部下に仕事を引き継いでいく時期でもあると思います。
「仕事のマニュアル化をする」「部下に自分の仕事を引き継いでいく」など、だんだん自分だけの仕事を手放していってはいかがでしょうか。
そうすることで、休んでいても緊急の連絡や質問のメールが来たりすることも減って、だんだんと休むことへの罪悪感が減り、しっかり休みを取ることができるようになっていくでしょう。そして、部下も仕事の幅が広がり、スキルアップにつながっていくと思います。50代は部下を育てていく時期なので、自分の仕事を手放していくこともプラスに働きますよ。
「何もしない時間」を作ってみる
「在宅勤務が続き、お昼の時間も外にランチに行く機会も減っているので、ほとんどパソコンの前にいるんですよね。出勤時間がなくなったので、朝は少しゆっくりの生活になっているので、睡眠時間は増えているはずなんですけど、休めた気がしません」(Oさん)
Oさんのように、長く同じ会社で働いている人は、これまでの働き方、先輩方をみても有給を取っている人は少なかったと思います。新たな視点を知るために、機会があれば別の会社の20代、30代くらいの休みに対する考え方を聞いてみるといいと思います。お子様がそれくらいの年齢だったら聞いてみるのもいいですね。
「権利だから休むのは当たり前だ」という声だけでなく、「休むことで仕事のパフォーマンスが上がる」「考える時間ができるので、仕事にプラスになる」など、そんな答えが返ってくるかもしれません。
休んでしまったことに対する罪悪感から、「何もしない時間から生み出したもの」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
なかなか、すぐに切り替えは難しいかもしれませんが、まずはランチの時間はパソコンを見ないなど、少しずつ「仕事をしない時間」をOさんも作ってみてはどうでしょう。意外と緊急な連絡などなかったりして、ゆったりとした時間を過ごせるかもしれませんね。(ひろ子ママ)