上司は寂しく部下は気楽なテレワーク ~際立つ上司・部下の意識ギャップ
「テレワークと人事評価に関する調査」(2020年4月・あしたのチーム)によると、「テレワークをしてみて感じたこと」で管理職の答えの1位は「通勤時間がない分、読書や勉強などスキルアップの時間が持てる」(37.8%)、2位は「人とのコミュニケーションがなくさみしい」(30.6%)です。これに対し部下にあたる一般社員は、1位が「人間関係のストレスがなく気楽」(36.7%)、2位が「仕事態度に緊張感がなくなった」(28.0%)です。上司は寂しく部下は気楽という、対称的な結果が表われています=下図参照。
また、「テレワーク時に管理職が部下に関して不安に感じていること」では、1位が「生産性が下がっているのではないか」(48.0%)、同率2位が「報連相をすべき時にできないのではないか」、「仕事をサボっているのではないか」(32.7%)とのこと。上司は部下の様子が見えず疑心暗鬼になり、テレワーク時の部下の人事評価は「オフィス出社時と比べて難しい」(73.7%)と答えています。
さらに、「テレワーク長期化に伴う組織課題に関する意識調査」(2020年4月・Unipos)では、「テレワーク前より部下の仕事ぶりがわかりづらい」と答えた管理職が56.1%だったのに対して「上司や同僚の様子がわかりづらい」と答えた一般社員は48.4%で、上司側のほうが7.7ポイント高くなっています。
こうしてリモートワークが広がる中で浮かびあがったのは、部下の日々の働きぶりを把握できずに悩む上司の姿です。職責意識の高い上司ほど、責務を果たせないと焦りや不安を感じているかもしれません。 その背景には、会社組織としても社員の働きぶりを管理しきれない危機感があるといえます。深刻な例では、ストレスが高じた上司がリモート・ハラスメントを起こすケースも出ているのです。
では、こうした現状をどう捉え、いかに克服していけばよいか。次回はその道筋を考察します。
※ マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力 ?『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。