外資系や製薬、小売りに「29歳以下」も
実施企業でも50歳以上が7割弱(66.5%)を占める結果となった。ところで、「45歳以上」が36社(実施企業の12.2%)あったが、これは全体に占める割合は0.4%にあたる。この数字を非常に小さいとみるか、意外にあるものだなとみるか。
東京商工リサーチでは、
「大企業を中心に、早期退職・セカンドキャリア関連制度の導入が進んでいる。導入する企業では、現在は55歳以上の適用が大半で、今夏沸きあがった『45歳定年制導入』は、まだ皆無に等しい」
と分析している。
ところで、「45歳」どころか「全年齢対象を含む29歳以下」という企業が25社(実施企業の8.5%、全体の0.3%)あったことは注目される。海外本社サイドの人事施策の影響力が強い外資系企業や、製薬を中心にしたメーカー、一部小売などの大企業で、「29歳以下」も対象にした早期退職・セカンドキャリアの導入が散見された。
東京商工リサーチでは調査結果について、こうコメントしている。
「コロナ禍での有効求人倍率は、2021年8月1.14倍とコロナ前(1.63倍、2019年3月)にほど遠く、雇用情勢は不透明感が漂う。こうした状況下で早期退職制度の導入は、従業員・企業双方に思いもよらぬ離職や労働環境の悪化も招きかねない。リカレント教育を推奨する声が一部にあるが、一般の会社員を対象とした(公的な)主要支援策は『教育訓練給付制度』などで、(受講費用の支援の)支給額は最大で半額程度と限定されている。
フルタイムで働く会社員にリカレント教育を広げるには乗り越えるべき課題は多い。早期退職・セカンドキャリア制度の導入は、企業側が拙速に進めるのではなく、働く人の将来設計にも寄り添いながら慎重な検討が求められる」
なお、調査は2021年10月1日~11日に実施。9039社から回答を得て分析した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業とした。
(福田和郎)