今週(2021年10月11日週)は、15日に米ドル円が約3年ぶりに1ドル=114円台に乗ったように、クロス円でも円が全面安となった。原油価格の上昇などが原因だが、円安傾向は現在も続いている。
そうしたなか、一橋大学のボンゴレさんが保有していたニュージーランドドルとメキシコペソが約定されて、大勝! 「米ドル円を中心に円安傾向がどのクロス円でも進んでいることを考えると、もう少し高めに指値を設定してもよかったかなと思っています」と、ちょっと色気をみせる。
慶応義塾大学の2Gさんは、多忙の中の隙間時間で、久しぶりにスキャルピングに挑戦。これが功を奏して利益を積み上げた。「感覚では、意外と覚えていたようだ」と振り返る。苦戦したのは明治大学の佐藤諒さん。取引は不発に終わったが、保有する英ポンドに救われた。「来週は上昇トレンドがいつまで続くかに注目したいと思います」と、気持ちを切り替える。
早稲田大学のNAKAMURAさんと同志社大学のFOXさんは、多忙のため取引をお休みした。
久しぶりのスキャルピング(慶応義塾大学 2Gさん)
FX大学対抗戦21週目。今週(10月11日週)もあまり時間がとれなかったので、しっかりと取引に臨むことができなかった。このままでは、ただ分析するだけで終わってしまうので、久しぶりにスキャルピングを試みた。
感覚では、意外と覚えていたようで、想定していたよりも良い結果となった。10月12日昼に隙間時間を利用してスマホでトレードしたのだが、合計6600円のプラスとなった。最近、平日はなかなか時間がとれない状況が続いているので、この問題を解決したい。
さて、今回もふだんと同様に今週の流れと今後の動きを整理したい。
◆ 今週の流れ10月11日週は、ドル円が買われた。週初の1米ドル=112円台から週末には114円台へと上昇。ここ1か月では約5円の大幅上昇となった。この週に発表された米消費者物価と生産者物価はいずれも高い伸びを維持しており、市場にはインフレが予想よりも長期化するとの見方が広がった。
米ニューヨーク原油は1バレル=82ドル台をつけたあと、調整に押されたが、再び買われている。インフレ警戒を象徴する動きとなっている。週初は売りに押された株式市場だが、次第に買いが優勢になっている。米債利回りは10年債が1.60%近辺でピークアウトし、低下傾向を示している。
ドル円以外の主要通貨ではドル売りが優勢となり、ドル指数は低下。クロス円も押し上げられた。円相場は総じて円安が進行。IMF(国際通貨基金)が世界経済見通しを引き下げた。供給ボトルネックやインフレ警戒が懸念されている。
市場では高インフレの下での成長鈍化でスタグフレーションとの声もでてきた。米金融当局が11月からのテーパリング(量的緩和の縮小)開始に突き進む一方で、その他、中央銀行はやや慎重な姿勢をみせている。金利差やリスク動向など複合的な要因が重なってドル円は上昇したように思われる。
いまの市場のテーマは世界的なインフレだが、サプライチェーン問題や人材不足、そして、コモディティ価格の高騰が予想以上に深刻で、高インフレの状況が想定以上に長引くのではとの警戒感が高まっている。
その分、景気の先行きへの期待感が高ければよいのだが、そうでもなく、エコノミストのあいだでは成長見通しを下方修正する動きも出ている。中国経済も不透明感一杯で、なかにはスタグフレーションを警戒する声もあるようだ。
岸田文雄政権は成長も分配も、をスローガンに「新しい資本主義」と題した経済政策の方針を打ち出している。パンデミック対策を中心に、さっそく数十兆円規模の経済対策を打ち出す意向のようだ。ただ現状では、市場の反応はいま一つの印象。各国はインフレに敏感になっているが、なぜか日本はまだデフレから完全に抜け出せておらず、利上げはおろか、日本銀行の緩和解除はまったく見通せない状況にある。
もっとも、ドル円にとってはありがたい状況とも言える。一部からは、今後15か月、来年末にかけてドル円は120円まで上昇する可能性も指摘され始めているようだ。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス2020年に主要国が10兆円規模の金融緩和を行った影響がインフレとなって返ってきています。それに加えて、天候問題やサプライチェーンの影響でよりインフレが加速するという悪循環が出ており、2022年には経済へのブレーキとなることが考えられます。
特に、政治問題で円売りとなり、インフレ体制のない日本は非常に厳しい状態に置かれるのではないでしょうか。それを考えると、ドル円120円という水準は当然のなのかもしれません。「悪い円安」というキーワードが出てきていますが、それ時点も過去10年でほとんど聞いたことがありません。異例だった新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、パンデミックの終息とともに反動となって表れているのかもしれません。
前週からの損益 プラス6600円
10月15日現在 119万200円
取引は負け越したが......(明治大学 佐藤諒さん)
今週(10月11日週)は各種通貨の上昇が継続しました。先週の記事に書いたとおり、英ポンド、カナダ(加)ドル、オーストラリア(豪)ドルからロング(買い)でエントリーできそうなものを探しました。今週は完全にチャートだけを見てトレードしました。先週までは経済指標も気にしていましたが、結局どちらに動くのかわかりませんでした。今週は取引が多くなり、合計4回になりました。
取引1 CAD/JPY(加ドル円)11日11時20分 売り→11日14時55分 決済11日時点で6月ごろにつけた高値に迫っており、多少反発すると思い、売りでエントリーしました。結界は思ったようにいかず上抜け4万5000円の損失になりました。先週からロング(買い)でエントリーしようと思っていたにもかかわらず、売りでエントリーした結果の失敗でした。この取引で切り替え次からロングでエントリーしていきます。 取引2 AUD/JPY 11日11日14時55分 買い→決済11日19時39分
9月6日につけた高値を大きく突き抜けていたので、勢いが継続すると思いロングでエントリー。今回はロットを多めにしてエントリーしました。そのため、すぐその日のうちに決済して、プラス4万円になりました。前回取引のマイナス分がほぼ消えると思って利確を急いでしまった面もありました。そのまま保有していれば大きな利益になったのでこの面は反省です。 取引3 CAD/JPY 12日15時19分 売り→決済12日20時32分
6月ごろにつけた高値を超えられずにヨコヨコしはじめたため、少しの反発を取ろうと売りでエントリーしました。少し下に利益確定の注文をし、大きめのロットでのエントリーです。ところが翌日に超えてしまい、逆指値にかかり大きな損失になってしまいました。この取引でマイナス6万5000円です。 取引4 GBP/JPY 14日23時16分 買い→保有中
これは上昇トレンドが終わるまで持ち続けようと思い、一番利益が伸びそうなポンドを選択しました。通常のロットで逆指値は広めに設定しました。
この建玉は現在も保有中であり、含み益が12万円になります。
今週は上昇トレンドが継続し、ロングポジションを持ち続けることができれば儲かる相場でした。来週は上昇トレンドがいつまで続くかに注目したいと思います。ポンド円は、今週は全部陽線で引けているので陰線が出るかに注目したいです。
今週の取引はマイナス7万円。保有するポンドの含み益が12万円あります。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス買いはすべて利益、売りは損失と、強い上昇トレンドの結果が反映されました。このような大きなトレンドが出ると、逆張りで負けた後に何度も逆張りしてしまうトレーダーが多い中、通貨ペアを変えながら売り買い両方行う柔軟性は素晴らしいです。
しかし、ニュージーランドドル円の次に強い通貨ペアを保有しており、その後に最大で3円も上昇しているため、対抗戦トップに躍り出る可能性もあります。コメントを入れている10月21日では、恒大集団のデフォルト懸念が再燃し、ポジション調整が起きています。しかし、前回のように無事通過すると、過去の中国関連のショック相場のパターンでは、再び元の水準に戻る可能性がありそうです。
保有する通貨 英ポンド
前週からの損益 プラス5万円
10月15日現在 118万5000円
NZドル、メキシコペソすべて約定(一橋大学 ボンゴレさん)
米ドル円が約3年ぶりに1ドル=114円台になったことを筆頭に、クロス円でも円が全面安となっています。この背景としては、(1)米株高を契機に投資家のリスク選好が進んでいること(2)日本の経済回復の遅れ(3)日本が物価上昇になかなか転じないこと(4)原油高が今後の日本の輸出に悪影響を与えると考えられていること――が考えられます。
FX取引を通して、この状況を実感することは学びが多く、楽しさを感じています。今週は保有している通貨がすべて約定されました。ドル円を中心に円安傾向がどのクロス円でも進んでいることを考えると、もう少し高めに指値を設定してもよかったかなと思っています。
ニュージーランド(NZ)ドルは、1NZドル=77円の買いポジションが指値注文していたとおり78.5円で約定され、7万5000円の決済益を得ました。NZ個別の理由が背景にあるというよりも、リスク選好の流れと円安がもたらした結果だと推測しています。
メキシコペソは、1メキシコペソ=5.35円、5.4円で50万通貨ずつ保有しており、まず後者は1メキシコペソ=5.5円で約定し、5万円の決済益を得ました。前者は、10月初めのOPECプラス会合で原油の積極的な増産が見送られ、供給不足から原油高が進行しているという状況がメキシコペソにプラスに働くと考え、11月に実施される次の会合までに約定されればと5.6円に指値を変更しました。
投資家のリスク選好姿勢が強まっていることも指値変更の理由です。約定までは時間がかかると思っていたのですが、16日(土)午前中に約定され、7万5000円の決済益を得ました。
先週時点では市場の予想とほとんど変わらなかったこともあり、相場に大きな影響は与えませんでしたが、メキシコの9月の消費者物価指数は6%であり、中央銀行がさらに政策金利を引き上げる可能性があると考えています。すでに市場は織り込んでいるのかもしれませんが、スワップポイントを狙うという点では来週中に再び買いポジションを保有しようと思っています。
※メキシコペソは1取引数量が10万通貨だったのですが、1万通貨だと勘違いして表記していました。今までの決済益及びスワップポイントは間違いありません。 前週からの決済益は、プラス20万2940円(スワップポイント含む)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイスメキシコペソで攻めたボンゴレさんが爆益を出してくれました。原油高と円安でメキシコペソも2020年2月末の水準まで値を上げました。インフレ率が高止まりしており、今後の利上げも想定されることから、メキシコペソは堅調な相場が続きそうです。また、メキシコ株も堅調に推移しており、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価以上の上昇を見せる場面もありました。
原油高が影響しているとあって、毎週発表される米国の週間原油在庫統計を見ておいてはいかがでしょうか。予想と結果の振れ幅が大きい指標ですが、シンプルに発表後に原油が上昇すれば、メキシコペソも上がりやすいという見方で大丈夫です。
前週からの損益 プラス20万2940円
10月15日現在 156万535円
神奈川県出身。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
10月15日現在 108万4455円
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
10月15日現在 110万5020円
福岡県出身。
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/