株価3万円台回復、エコノミストの予想は真っ二つ! 意外な大波乱要因は「中国」より「米国」?(2)

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FRBパウエル議長後任の「強硬ハト派」が台風の目に?

   ところで、ここに来て世界経済に新たな混乱を与えそうな事態が起こった。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の「不祥事」である。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト木内登英氏が「パウエル議長が不適切な金融取引か?」(10月20日付)の中で、「世界的な株安につながる恐れがある」として、こう指摘する。

「政治専門メディア『アメリカン・プロスペクト』は10月18日、FRBのパウエル議長が2020年10月に保有する株式投資信託を最大500万ドル売却していた、と報じた。FRBの倫理規定では、銀行株の保有禁止、米連邦公開市場委員会(FOMC)直前と開催中の取引禁止、金融商品の売買や保有についての開示などが、FRB高官に求められている。報道が正しければ、倫理的な側面から批判が高まる可能性は高いだろう。
バイデン大統領は今のところ、パウエル議長の再任を支持している。しかし民主党急進左派の間では、パウエル議長の再任に反対の声も上がっている。ウォーレン上院議員は、パウエル氏が大手銀行への規制を緩和したなどとして、『危険な人物だ』と再任に反対している。メネンデス議員は、パウエル体制下で「幹部に人種的少数派がほとんど起用されなかった」ことを問題視する発言をしている」

   木内氏は、民主党急進左派は、金融政策手腕とは異なる面からパウエル議長の再選に反対しており、今回の報道によって再任反対の意見に一層弾みが付くだろうとして、こう結んでいる。

「事態は未だ流動的だが、仮に金融市場で評価が高いパウエル議長が再任されないとの観測が広がれば、株安などにつながる可能性があるのではないか。他方、ブレイナード理事が議長に指名されるとの観測が広がれば、ドル安要因になる可能性がある。ブレイナード理事はパウエル議長以上にハト派であるからだ」

   トランプ前大統領による指名でFRBのトップに就いた共和党系のジェローム・パウエル議長(68)とは異なり、ラエル・ブレイナード理事(59歳)は女性で、正式な民主党員だ。オバマ政権下で財務次官(国際問題担当)を務めた経歴も持つ。ブレイナード理事は、資産バブルなど金融の行き過ぎを回避するための規制ツールの利用について、「穏健ハト派」とされるパウエル議長よりもはるかに前向きな姿勢を示しており、規制志向が強い「強硬ハト派」とされる。

   仮にブレイナード理事がFRBのトップに就任したら、ウオール街に与えるインパクトはかなり大きそうだ。

(福田和郎)

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