企業信用調査の帝国データバンクが、全国の2万4516社(有効回答は1万2222社。回答率49.9%)に、東京五輪・パラリンピックの開催で売り上げが増加したかどうかを聞いたところ、「開催前」の段階で増えたと答えた企業は8.6%、また「開催期間中」で4.8%、「開催後の見込み」では4.3%になったと、2021年10月14日に発表した。
今年7月から9月にかけて開催された東京五輪・パラリンピックは、日本が過去最多の金メダルを獲得するなど、多くの人々に感動を与えた一方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの会場で無観客となるなどの制約があった。そのため、さまざまな関連消費が伸び悩み、経済効果は限定的となったとされている。
東京五輪のレガシー、今後5年間で8兆8000億円の売上増を期待
調査では、東京五輪の開催で「どの程度売り上げが増減したか」を聞いたところ、増加に関しては「開催前」が8.6%で最も高かった。「開催期間中」、「開催後」の効果と、将来にかけて徐々に少なくなっている。
一方、売り上げの減少では、「開催期間中」が4.1%で最も高い。また、売上高の平均額では「開催前」が最も高く平均2150 万円となり、「開催期間中」は447万円、「開催後の見込み」では657万円となった=下図参照。
企業全体でみると、今後の5年間で8兆8263億円の売上増を期待していると試算した。
東京五輪の開催による売り上げ増をみると、「開催前」、「開催期間中」、「開催後の見込み」それぞれで増加したと答えた割合は1割以下だった。
東京五輪の開催によって売り上げが増加した業界をみると、旅行業を含む「運輸・倉庫」がそれぞれの期間で最も高かったほか、「開催前」の効果では、五輪施設の建て替えなどで旺盛な需要が目立った「建設」の売上高(平均)が 3973 万円でトップだった。