宇宙開発から生まれた発想ツールが使えそうだ!

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新しいコンテクストを考える

   次の章では、未知の製品を頭の中で分解しながら考える場合に有効な「PFM分解」という思考フレームワークを解説している。「PFM分解」とは、技術システム(製品やサービスを含む)をその構成要素に分解し、可視化することで、製品の目的や機能を抽出し、実装するために必要な具体的手段を明らかにする思考フレームワークのことだ。

   目的(Purpose)-機能(Function)-手段(Means)の順に階層化して考えることを共通のルールとして採用している。このとき、最初に行うのがコンテクストの設定だ。コンテクストとは、文脈や背景、状況などを意味する英語だが、ここでは製品やサービスの利用を取り巻く環境のことを指す。

   具体的には4W(WHO、WHERE、WHEN、WHAT)のフレームワークを用いて、誰が(WHO)、どこで(WHERE)、いつ(WHEN)、何を・何に対して(WHAT)、製品やサービスを利用するかをシナリオの形で考える。そして、新しいシナリオを設定する。

   本書では例として、電動歯ブラシの開発を挙げている。古いコンテクストでは、「会社員が会社のトイレで、お昼休み後、歯を磨く」というものだったが、新しいコンテクストでは「主婦がキッチンで、夕方に野菜を洗う」というものにした。こうして「農薬除去のための電動ブラシ」という新しい製品コンセプトを考えた。これはあくまでも思考実験だが、発想法をわかりやすく説明している。

   さらにスタンプ製品を製造・販売するシャチハタ株式会社、船舶用機器を製造・販売する株式会社中北製作所など、実際のイノベーションの事例を紹介している。  巻末には、ボールペンの新しい製品のコンセプトを考えるなど、いくつかの練習問題が載っている。ここでは、「自分の靴を識別するための靴用ペン」という新しい製品コンセプトが誕生するまでを取り上げているが、「PFM分解」の手法を理解するのに役立っている。

   応用問題では宅配サービスから新しいサービスのコンセプトを考えている。その回答が「大学生間での教科書転売の新しいサービス」というもので、驚かされた。

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