2020年度の「いじめ」の認知件数は、前年度比9万5333件(15.6%)減と大幅に減少した。ただ、減少の背景には新型コロナウイルスの感染拡大が影響している。
文部科学省が2021年10月13日に発表した「令和2(2020)年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中・高等学校および特別支援学校のいじめの認知(発生)件数は51万7163件だった。
2020年はコロナ禍の影響で減少
いじめの認知件数は、2006年度以降は減少に転じていたものの、2012年度からは再び増加に転じ、その後は増加の一途を辿っていた。ここ20年間を見ると、2004年度には2万143件だった認知件数は、2019年度には30.4倍の61万2496件にまで増加した。
学校全体に占めるいじめを認知した学校の割合も、2005年度には19.4%だったが、2019年度には82.6%にまで上昇した。
しかし、2020年度は認知件数が前年度比15.6%も減少し、認知した学校の割合も3.7%ポイント低下し、78.9%となった=表1参照。
この背景について文科省は、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、生活環境が変化し、児童生徒のあいだの物理的な距離が広がったこと、日常の授業におけるグループ活動や学校行事、部活動などさまざまな活動が制限され,子供たちが直接対面してやり取りをする機会やきっかけが減少したこと、年度当初に地域一斉休業があり夏季休業の短縮などが行われたものの、例年より年間授業日数が少ない学校もあったことなどをあげている。