衆院選後の株価は? 週刊ダイヤモンドが特集 エコノミストは「FIRE資産形成術」、東洋経済は「みずほ銀行」に注目

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊ダイヤモンド」(2021年10月23日号)は、「選挙後の新相場に乗れ!」と銘打ち、「株入門」を特集している。19日に、衆院選が公示された。日本の株式市場にとっても選挙は大きなイベントだ。選挙と株の関係をデータで振り返っている。

  • 週刊ダイヤモンドは「株入門」を特集
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期待膨らむ? 投票日までの株価は16回中14回が上昇

「週刊ダイヤモンド」2021年10月23日号
「週刊ダイヤモンド」2021年10月23日号

   1970年以降の衆院選において、衆議院解散日から投票日までの日経平均株価は16回中14回が上昇している。約88%とかなりの上昇確率だ。

   今回は9月の急騰劇を経て、振り出しに戻る格好になったが、今後投票日までの間、選挙モードの中で株価上昇期待が高まる可能性がある、と見ている。

   また、「投票日から60日後まで」の騰落率でも、過去16回中11回で上昇しており、株価強気派の根拠になっている。

   日本銀行は2010年12月以降これまで、日本株を累積で約32兆円買い越し、その間の海外投資家の売りを吸収してきた。しかし、21年3月、それまでの方針を大きく変更した。「年間6兆円の増額ペースでの買い入れ」という数字を削ったのだ。安心材料を失い、日本株はこれまで以上に海外投資家の動向に左右されることになりそうだ。

   ソニーグループ、海運、メガバンク、ソフトバンクグループなど、人気株の買い・売り材料を診断している。ソニーグループは株価も業績も高値圏だが守りに入っている印象だと見ている。海運株はコンテナ運賃が焦点でPER(株価収益率)は参考にならないそうだ。メガバンクは金利上昇が下支えしており、配当利回りが魅力。焦らずに高配当を享受するのが投資の王道だ。ソフトバンクグループは、中国の規制強化によるアリババ株下落が直撃している。中長期で孫正義・会長兼社長に資金を預けられるかどうかが投資の判断材料になるという。

   ROE(自己資本利益率)や高配当利回りなどによる推奨銘柄のランキングも掲載しているので、参考になるだろう。

(中見出し)投信はもうおいしくない商品

   パート2では、投信商品を検証している。なぜ、投信業界は株高の下で「どん詰まり」になったのか。覆面座談会で内部事情を語っている。その中で、手を出してはいけない商品が浮かび上がってきた。

   株高の追い風を受けて、2021年8月の公募株式投資信託は9か月連続で流入超過。純資産総額は83兆円と過去最高を更新している。しかし、この1~2か月の売れ筋ファンドはグローバル株か米国株とつまらない状態だという。

   ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにしたアクティブファンドも増えているが、この人気は「ビミョー」だという。実体が伴わないのに見せかけているものも少なくなく、金融庁もESCファンドの看板と中身に厳しい姿勢を見せてきているという。

   「そもそも、銀行・証券にとって、投信は今やもう『おいしい商品』でなくなっている。彼らの関心が向いているのは、やっぱり保険です」という発言もあり、投信業界も曲がり角に差し掛かっているようだ。

   記事では、ほかに「ラップ口座」の高コストや運用効率の悪さを指摘している。ファンドラップは1年間で損する確率が、大手証券3社で36~43%にのぼるという衝撃の数字を明かしている。

   また、残高を伸ばす人気バランスファンドも運用効率がパッとしないらしい。個別株の組み合わせの妙で、インデックス投信の「いいとこ取り」ができる、極意も伝授している。

   証券会社はどこがいいのか? 主なネット証券と対面証券(インターネット取引)の手数料とサービスを比較した一覧表も便利だ。これから株を始めようという人には見逃せない特集になっている。

「FIREには4つのパターンがある」週刊エコノミスト

「週刊エコノミスト」2021年10月26日号
「週刊エコノミスト」2021年10月26日号

   週刊エコノミスト(2021年10月26日号)は「もう会社に頼らない FIRE資産形成術」を特集している。FIRE(=「Financial Independence Retire Early movement」)とは、「経済的な自立を実現し、早期リタイアを目指すムーブメント」のことだ。先週の「週刊ダイヤモンド」も同様の特集を組んでいたので、いよいよ日本でもFIRE人気に火かついたようだ。

   働いても働いてもなかなか収入は増えない。それどころか、いつ仕事を失うかわからない。そんな時代を生き抜くために、FIREが必要だというのだ。

   特集では、冒頭で2019年に30歳で大手企業を退職し、「適度な田舎」でFIRE生活を送る穂高唯希さんの生き方を紹介している。FIRE時の資産は7000万円。FIREに至るまでは、徹底して家計を管理して、給与の8割を資産運用に回したという。

   資産運用の基本は高配当・連続増配株式投資。FIRE後は、主に増配株で運用している。リスク分散のため、単一銘柄がリスク資産全体の5%程度を上回らないようにしているそうだ。

   資産残高は今、1億円台に乗せており、配当益や運用益の取り崩しが収入の柱の一つだ。しかし、「FIREとは働かないことではないと思っている」と話している。農作業や林業、冬は除雪作業など「興味ある活動」にも携わり、ブログやコラムの執筆もしている。

   ファイナンシャルプランナーの横谷聡さんが、「あなたはどのタイプ?」と題して、FIREの4パターンを解説している。

   就労所得なしでも資産運用だけで生活できる「フルFIRE」、一定額の資産運用・取り崩し・副業・パートを組み合わせた「スローFIRE」、資産は少なくても、一定額の副業とパート収入を足して生活する「サイドFIRE」、倹約をして、働かずに、少ない資産運用・取り崩しで生活する「倹約型FIRE」の4つだ。

   フルFIREの場合、資産1億2000万円を年利4%で運用すると、月40万円(年間480万円)の運用収入で生活費をまかなえる。資産は減ることなく、65歳からの年金受給で増加するという。ところで年利4%の利回りを獲得するにはどうしたらいいのか。4つのシナリオを提示している。

   比較して、現実的なのはスローFIREのようだ。一定程度働きながら資産も運用するのだ。40代前後のFIREにばかり目が向きがちだが、60歳前後のシニア世代にこそ、FIRE的な発想が求められると思った。

みずほはりそなに追い抜かれるかも? 週刊東洋経済

「週刊東洋経済」2021年10月23日号
「週刊東洋経済」2021年10月23日号

   今年に入り、相次ぐシステム障害を起こしたみずほ銀行。統合から20年、かつてない窮地に立たされている。 「週刊東洋経済」(2021年10月23日号)が、「みずほ 解けない呪縛」と出した特集を組んでいる。2021年2~3月に計4回の障害が発生、6月に第三者委員会が報告書を提出し、再発防止策を発表した。ところが8~9月に再び計4回の障害が発生。9月に金融庁は業務改善命令を出した。同誌によると、みずほ銀行は統合以来、20年間で11回の行政処分を受けているという。

   システム障害の理由について、システム軽視によるコストカットが障害の連鎖を招いたと見ている。みずほは2019年に新しい勘定系システム「MINORI」に移行したが、ATMや営業店端末などをつなぐ周辺のシステムの一部では、古い設計のものが使われているという。システム部門にはコストカットの圧力がかけられており、対前年比10%の予算削減を迫られていた、という担当者の声を明かしている。

   こうしたシステム軽視は今に始まったことではなく、旧行ベースのマルチベンダー体制が引き起こした、と見る関係者が多いようだ。

   特集では、システム障害の裏にある「病巣」として、内ゲバ同然の内部抗争の実態に迫っている。また、総資産10億円以下の企業には担当者をつけないという中小企業切り捨ての「改革マニュアル」を入手し、顧客を無視した対応に疑問を投げかけている。メインバンクをみずほから変えたいという企業の声も紹介している。

   こうした動きの中、みずほの背中には、りそなが迫っているという。住宅ローン残高やメインバンク数ではりそながみずほを追い越したというデータを示している。こうした状況が続けば、将来、りそなとみずほの地位が逆転し、「メガバンク3行+みずほ」と呼ばれる日が来るかもしれない、と結んでいる。

(渡辺淳悦)

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