欧米メディアが心配する中国GDP急減速! 習近平は「第2の文化大革命」で大混乱を起こす?

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中国で「格差是正」を解決するのは不可能

   日本のエコノミストでも、危機的状況が迫っているとみる人が出ている。日本総合研究所上席主任研究員の三浦有史氏は、三井住友銀行のサイト「SMBC China Monthly」(10月18日付)の中に、「『共同富裕』を急ぐ習近平政権」というリポートを発表した。その中で、今回の中国経済の減速の背景には「格差是正」という構造的な問題を潜んでおり、解決は非常に困難だと指摘する。

   中国人民銀行の家計調査によると、中国では資産の上位5分の1(上から20%)の保有財産は、下位5分の1(下から20%)の24倍もの格差がある。このため、習近平国家主席は、富裕層の富を、税や社会保障などの財政出動だけではなく、寄付や慈善活動によって中間・下位層に分配する政策を強権的に推し進めてきた。しかし、それが限界にきていると三浦有史氏は指摘するのだ。

「共同富裕を建前に、特定の企業や産業を対象に寄付や慈善活動を迫る、あるいは、収益構造を根本的に変える規制を打ち出すといった政策の恣意性が強まると、対象となった企業や産業に流入する資金は細る。動産、教育、ITの3産業は民営企業が牽引役となることで急成長を遂げ、GDPに占める割合は 2018 年に 13.9%と、2004 年から 3.8%ポイント上昇した。(寄付や慈善活動の)分配の強化は、この押し上げ効果を減殺する危険性がある」
デフォルトは起こるのか?
デフォルトは起こるのか?

   「富裕層」として習近平氏に目をつけられた「産業」に、高い診療報酬が問題視される医療が加わるとみられている。三浦有史氏はこう続ける。

「医療を加えると GDPの16.1%となり、そこに不動産業と関係の深い建設業を加えれば23.2%に達する。習近平政権は、共同富裕に至る過程の痛みを覚悟しているようだが、国内だけでなく国外の投資家も委縮させることになれば、中国経済に想定を上回る下押し圧力がかかる。
不動産、教育、医療にかかわる支出が負担となり、所得水準が上昇したほどには生活の質が上がらないと感じる中国国民が増えたのは間違いない。しかし、富裕層でなければそれらにアクセスできない仕組みをつくったのは中国政府自身である。共同富裕は、寄付や慈善ではなく、税、土地、教育、医療、社会 保障等の関係する制度の抜本的な改革により、中間層が生活の質の向上を実感できる仕組みをつくることで実現を目指す必要がある」

と訴えるのだった。

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