実行できるか!? 「実現可能」な中長期的成長戦略
2022年2月期通期の連結決算の業績予想は、売上収益について従来予想から75億円減額した3575億円(前期比12.0%増)に下方修正したものの、営業利益など各利益はすべて据え置いた。この点が「コスト削減が進むのだろう」として市場に評価された。
先の野村証券のリポートは「緊急事態宣言の解除等に鑑みて、下期にかけて業績回復に向かうとの見方に違和感はないだろう」とも記した。
SMBC日興証券は中間決算を受けたリポートで、コスト削減の徹底などを踏まえて「(同業)他社よりも危機感を持って変化のスピードを上げ、過去もそうであったように百貨店業界の中で中期的利益回復の先陣をきってほしい」とコメントした。
そうした市場の期待が株価の急伸につながったようだ。
とはいえ、百貨店業界では今世紀に入って趨勢的に売上高減少や店舗閉鎖が続いている。一時的に業界を潤した訪日外国人需要はコロナ禍で蒸発してしまった。コロナ禍をくぐり抜けた先に訪日外国人需要がある程度は復活する可能性があるが、以前の水準に戻る保障があるわけではない。
実現可能な中長期的成長戦略を示し、かつ実行していかなければ、投資家から見放される可能性もありそうだ。
(ジャーナリスト 済田経夫)