「無色透明」な岸田首相が「原発推進」に染まった?
エネルギー政策について、岸田首相自身は「無色透明」ながら、原発推進派の面々を周囲に配置した形だ。その「成果」は総選挙へ向け公約に、すでに表れている。高市政調会長が中心になって取りまとめたもので、「政策BANK」(細かい政策まで網羅)には、公約の2本目の柱である「『新しい資本主義』で分厚い中間層を再構築する。『全世代の安心感』が日本の活力に」の第2項目「カーボンニュートラル・エネルギー」の中で、「可能な限り原発依存度を低減します」など従来からの言い回しを維持しつつ、「国民からの信頼、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していきます」と明記した。
安倍晋三政権下の前回(2017年)総選挙の「政策BANK」は「立地自治体等関係者の理解と協力を得つつ、原発の再稼働を進めます」として、前々回(2014年)と同様、「再稼働どまり」だった。
今回の「政策BANK」は、「新増設」や「リプレース」という単語こそないが、原発の寿命が来て廃炉になれば、代わりを作っていくと示唆する書きぶりになった。
萩生田光一経産相は就任会見で、原発再稼働進める方針を示す一方、新増設やリプレースについては「現時点で想定していないという政府方針に変更はない」と慎重な言い回しに終始したが、こうした政府方針と自民党の公約の関係も問われることになる。
総選挙に向け、立憲民主党は原発に依存しない脱炭素社会実現に向け、原発の新増設を認めないことなどを柱とする公約を打ち出し、共産党も「原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入る」などと公約している。
原発推進の岸田政権・与党と野党の激しい論戦が展開されることになる。(ジャーナリスト 岸井雄作)