きょうは、50代のHさんがいらっしゃっています。
「『社会人の学び直し』とか『リカレント教育』などという言葉を目や耳にしたりしていますが、私の会社では学ぶための費用が出たり、休暇が取れたりという制度はありません。大企業の人事系で働いている知り合いが、将来のことを考えてキャリアコンサルタントの資格取得に向けて学校に通っている話を聞きました。何かやっぱり資格取得したほうがいいのかなと考え始めたところです」
「何か資格があれば役に立つだろう」ではない
「人生100年時代」。ビジネスの環境の変化に対応していくために、継続して学びながら能力やスキルを高めていく「リカレント教育」が注目されていますよね。改めて大学や大学院に通ったり、通信教育を受けたり、オンラインで英語を学んだりと学び方はさまざまです。
そして、Hさんのように「何を学んだらいいのかわからないから、ひとまず役に立ちそうな資格を取得しよう」とネットで「役に立つ資格トップ5」など検索して資格取得のために時間を費やしている方もいます。
もちろん、プラスの知識として身につくと思いますが、今のビジネスキャリアや転職に、実際に活かせるかどうかはわからないところです。
先日、ちょうどキャリアコンサルタントの資格を取得したBさんとお話をしましたが、
「一緒に学んだ15人くらいの仲間の中で、仕事として活かしているのは私一人だけです」
とおっしゃっていました。
Bさんは、もともとコーチングなどもされていたので、コーチングにキャリアコンサルタントの知識を組み合わせやすく、活かしやすいということもあったようです。
残念ながら他の方は何かキャリアアップに繋がるだろうと取得されたのですが、お仕事には活かされていないそうです。資格取得が目的になってしまったのですね。やはり、資格はもともとの実務経験がないと活かせる機会が少ないため「資格を取っておけば役に立つだろう」と安易に取得するのは避けたいところですね。
どんな業界で、どんな能力やスキルが必要か考える
とはいっても、50代はこの先10?20年は働けます。いま身を置いている業界に活かせる資格やスキルを強化することが正しいかといえば、必ずしもそうではありません。たとえば、ガラケーを売っている事業部にいるからといって、これからそのスキルを高めても役に立つことは少ないですよね。将来性が期待できない分野のスキルを補足しても、ムダになってしまう可能性は大きいでしょう。
そこで、これからどんな業界が伸びていくか、そのためにはどんな能力・スキルが必要なのか考えてみてはいかがでしょう。
仮に、いま注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連する仕事に就きたいと考えているのであれば、「どんな人材が求められるのか」「どんなスキルが必要なのか」「DX人材になるにはどうしたらいいか」などを、実際に調べてみることです。
調べてみると、IT業界や技術職以外の方はおそらく、「DX人材を今から目指すのは無理だ」と思ってしまうほど、距離があるかもしれません。まったく実務経験がない人が「初心者向けのAIの基礎講座」を学んでも、すぐにDX人材に慣れるかといったら難しいでしょう。
そこは一歩引いて、すぐに転職を目指すのではなく、「今の業務に取り入れる方法はないか」「自分の使っているツールに組み込んでみる」「独学でさらに学んでアウトプットしてみる」など、できることから距離を縮めていく。学んでみる価値はあるのですから。 そして、だんだんと「DX人材」に近づけていくのです。アウトプットを続けた方は、この先10~20年の中できっと道が見つかると思います。先ほどのキャリアコンサルタントの資格を取得された方々も、アウトプットを続ければ生かせる機会は生まれてくるでしょう。
勉強のスケジュールは予定を詰め込み過ぎないこと
学びにあまりお金をかけられないという方は、通信講座や独学での学びもありでしょう。恥ずかしながら私は、何度も独学で学びを失敗しています。「1日3時間、1か月で90時間」と計算しても1週間でも予定どおりに行かず、うまく行った試しがありません。もちろん、計画的に学習できる人もいらっしゃると思いますが......。
そこでまずは、予定を詰め込み過ぎないことです。週に1日予備日を作り、1週間の予定を詰め込み過ぎないように。予定を立てたら、まずは1週間試してみて、詰め込み過ぎたと思ったら、見直したらいいだけです。
私はかなり緩く目標を立てていることと、学びを続けるためのアプリを使って継続できるようになりました。アウトプットなども学ぶ仲間が近くにいると続けられそうですね。
Hさんも、まずは「これから必要なこと、生かせそうなスキルや能力」をしっかり考えて、その取得に動いてみてはいかがでしょうか。(ひろ子ママ)