麹はカラダにいいだけではなかった! 地球環境をも救う存在かも......【食品のムダをなくす一冊】

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腸内環境を良くする黒麹と白麹

   臨床の場で試したところ、効果がわかり、麹にハマったそうだ。麹がカラダに及ぼす一番の良い影響は、腸内環境を改善することだ。これに尽きるという。黒麹と白麹の場合、摂ると腸内環境が改善されて免疫力がアップ、便秘を改善する。なかでも大きなメリットは、酪酸菌を増やすことだ。酪酸菌は、酢酸と酪酸という二つの物質を作る。そして酪酸は、大腸が必要とする栄養の約9割を占めるエネルギー源だ。

   麹を摂った後の腸内の酪酸菌量の変化を棒グラフで示している。多くの被験者が1か月余りで有意差が出る結果になっている。

   そのほかにも、黒麹を摂ると、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞や免疫を調整する「制御性T細胞」が増加するという。文晴さんは、「薬でもない麹がこれらの細胞を増やすという結果が出たことは、医者としても本当に驚きの結果でした」と書いている。このほかにもさまざまな健康効果があるようだ。

   次の章では、二人がそれぞれ、塩麹や甘酒、麹水を使った料理を紹介している。10年ほど前、塩麹が爆発的なブームになった。一過性のものと思われたが、定着したようだ。簡単な作り方を紹介している。米麹300グラム、食塩90グラム、水400ミリリットルが材料だ。塩分濃度が11~13%が適度だという。麹と塩を保存容器に入れ、混ぜる。半分の水を入れ、フタをしてそのまま置く。2日目に残りの量の水を入れ、全体をよくかき混ぜる。そのまま1週間から10日程度常温で億。1日1回かき混ぜて空気を入れる。米粒がどろっとしてきて、指でつぶせるくらいに溶ければ発酵完了だ。塩?を使ったレシピも紹介している。

   父の正博さんが、最後に「麹でサスティナブルな暮らしを実現しよう」と呼び掛けている。発酵技術は食べものを作るだけでなく、新しいクリーンなエネルギーを作り出すプロセスとしても活躍しているのだ。バイオマス燃料はすでに実用化している。また、ゴミや残った食品が麹の力で飼料に変身するという。

   ちなみに版元のポプラ社の所在地は東京都千代田区麹町4丁目。麹は古くから日本のどこでも作られてきた、日本独特の文化である。学究肌の親子が科学的に語ることで、より信頼性を増したところに本書の意義が感じられた。(渡辺淳悦)

「麹親子の発酵はすごい!」
山元正博・山元文晴著
ポプラ社
1650円(税込)

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