九州の焼酎の基礎を築いた祖父の麹
「麹は、微生物から人類への最高のギフト」と題して、父の正博さんが麹の基礎についてレクチャーしている。麹とは麹菌という微生物のこと、そして麹菌は、カビの仲間だ。蒸したお米に?菌を生やしたものを「米麹」、麦に生やせば「麦麹」、豆に生やせば「豆麹」になる。
日本にはさまざまな麹菌があるが、お酒にかかわる代表的な麹菌が、黄麹、黒麹、白麹の3種類だ。黄麹は主に日本酒や甘酒を造る時に使われる。クエン酸は作らない。黒麹のひとつと、白麹は、正博さんの祖父、河内源一郎氏が発見したものだという。クエン酸をつくる沖縄の黒麹に注目し、独自の黒麹菌の培養に成功した。これを使った焼酎が九州全土に広まった。山元さんの家は、どうも?の名門一家のようだ。
麹はカビだ。だが、日本の麹菌には遺伝的にカビ毒を出す遺伝子がないことが近年わかったという。日本人は古くから麹菌とうまく付き合い、さまざまな食べ物を作ってきた。日本のお酒と和食に使う調味料のほとんどは、麹を使って作られる。
「日本食=麹」と言っても過言ではないという。味噌、みりん、しょうゆ、かつお節、穀物酢も麹を使って作る。その健康効果について、息子の文晴さんが語っている。最初、父に効果を試してほしい、と言われたときは、「えー、嫌だな、本当に効くの?」と疑いの目で見たという。