原油価格、円安による輸入物価、金利...... 上昇リスクで国民生活に大きな危機!(鷲尾香一)

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貿易赤字は円安要因、国内物価の上昇につながる

   貿易赤字の影響について述べる。貿易を行えば、決済が発生する。そのほとんどは米ドルによって行われるため、輸出ではドルでの受け取り、輸入ではドルでの支払いが発生する。

   貿易黒字は輸出が輸入を上回っている状態なので、ドルでの受け取りが多くなり、これを円に換えるためのドル売り・円買いが行われ、円高要因になる。そして、GDP(国内総生産)の押上げ効果となる。

   一方、貿易赤字は輸入が多くなるので、ドルでの支払いのため、ドル買い・円売りが行われ、円安要因となり、GDPの押し下げ要因となる。

   このところのドル高・円安の動きの背景には、米国の金融政策の正常化への動きによる長期金利の上昇で、日米の金利差によるドル買い・円売りの動きに加えて、日本の貿易赤字への転落がある。

   円安はこれまで、たとえば1ドル=100円で買えていた外国製品を1ドル=110円で買うことになるため、輸入物価の上昇につながり、国内物価の上昇につながる。前述のように、日本の貿易構造は輸入数量が減少しにくく、輸出数量が増加しにくい状態となっていることや、日米の金利差が縮小するメドがないため、当分は円安圧力がかかりやすい状況が続くだろう。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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