フランスの原書が並ぶ、飾らない古書を愛する店主のこだわりが詰まった空間【Vol.25 古書すからべ】

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本を作る側の思いを込める

   2003(平成15)年に一人で古書店を立ち上げる以前、大谷さんは編集者として本を作っていた。今でも古書業と並行しながら、音楽の専門書を手がけている。本を作る側の面白さも知りながら、売る側へ足を踏み入れたのは、古書への愛着からだという。

「古い本の質感や、文字だけが並んだ飾り気のなさ、読みやすさが好きなんです」

   なるべく線を引いたり書き込めたりできる本を取り扱いたいという思いから、「すからべ」の商品は凝った装丁や挿絵があまりない、無機質なペーパーバックが大半だという。

   ちなみに、大谷さんは個人で絵本を2冊出版した経験がある。お子さんの幼稚園での課題がきっかけでオリジナルの絵本を制作し、友人の反応がよかったことがきっかけだ。鮮やかな色使いで剽軽な雰囲気の絵で、夢の中のような不思議なストーリーが展開する絵本だ。

絵を描くこと、昆虫、音楽......。大谷さんの趣味は深く広い
絵を描くこと、昆虫、音楽......。大谷さんの趣味は深く広い
なかざわ とも
なかざわ とも
イラストレーター
2016年3月学習院大学文学部卒。セツモードセミナーを経て桑沢デザイン研究所に入学、18年3月卒業。趣味は、宝塚歌劇団、落語、深夜ラジオ、旅行。学生時代より神保町に惹かれ、現在フリーペーパー「おさんぽ神保町」の表紙や本文のイラストを手掛けている。1994年、東京都生まれ。
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