本を作る側の思いを込める
2003(平成15)年に一人で古書店を立ち上げる以前、大谷さんは編集者として本を作っていた。今でも古書業と並行しながら、音楽の専門書を手がけている。本を作る側の面白さも知りながら、売る側へ足を踏み入れたのは、古書への愛着からだという。
「古い本の質感や、文字だけが並んだ飾り気のなさ、読みやすさが好きなんです」
なるべく線を引いたり書き込めたりできる本を取り扱いたいという思いから、「すからべ」の商品は凝った装丁や挿絵があまりない、無機質なペーパーバックが大半だという。
ちなみに、大谷さんは個人で絵本を2冊出版した経験がある。お子さんの幼稚園での課題がきっかけでオリジナルの絵本を制作し、友人の反応がよかったことがきっかけだ。鮮やかな色使いで剽軽な雰囲気の絵で、夢の中のような不思議なストーリーが展開する絵本だ。