追い風! ビールの減税効果
日本ではビールが贅沢品だった昔の名残で、ビールに対する酒税が高かったため、メーカーはビールに似た味わいで酒税の安いカテゴリーに該当するアルコール飲料(発泡酒、第3のビール)を開発した。
こうしたいびつな構造を是正しようと、3種のビール類の酒税を統一することが2016年に決まった。20年、23年、26年と段階的にビールの税率を下げ、発泡酒と第3のビールの税率を上げるスケジュールで、その第1弾は20年10月に実施された。
第1弾では、350ミリリットル換算でビールは7円減税となり、逆に第3のビールは10円近い増税となった。酒税は本体価格に含まれており、この増減税はビールにとっては追い風、第3のビールには逆風となっている。それは各社の販売に如実に反映され、ビールは好調で、第3のビールには前年割れの商品が多い。
アサヒは休止しているマルエフの販売を21年11月24日に再開する予定だ。マルエフの生産ラインを増強するため、同日に予定していたマルエフの「黒生」の発売は延期することになった。
21年9月の大手4社のビール販売量は、缶商品は好調だったが業務用の落ち込みを補うまでではなく、全体では前年同月比で1割減った。マルエフはビール販売が本格的に復調した兆しなのか、単なるCM効果なのか。業界は注目している。(ジャーナリスト 済田経夫)