「マナー」はなぜ炎上するのか? 誹謗中傷する人の心理とは......【尾藤克之のオススメ】

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   マナー講師が炎上する事例が増えています。無理もありません。マナー講師によって言うことがバラバラだったり、聞いたこともないような妙なマナーを押し付けてきたり、あるいはその居丈高な言動に、世間の人は不信感を覚えているのでしょう。

   ところが、実際のところ、マナー講師がどのような職業なのか説明できる人は少ないと思います。ネット上ではマナー講師に対する批判が高まっていますが、実態がわからないからこそ、批判したくなる面もあるかもしれません。

   「マナー講師の正体、マナーの本質」(西出ひろ子 著)アドレナライズ

  • 誹謗中傷に苦しむ……(写真はイメージ)
    誹謗中傷に苦しむ……(写真はイメージ)
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マナーを見直すべきはマナー講師

   著者の西出ひろ子さんは、著書100冊を超えるベストセラー作家です。NHK大河ドラマ「龍馬伝」でマナー指導を担当するなど活動は幅広く、日本でもトップクラスのマナー講師として知られています。

   ここ数年、マナーはSNSで定番の炎上ネタになっています。西出さんかいくつかの要因があると解説します。その一つに、マナー講師の問題あると言います。

「もちろん私も、自分の提唱するマナーが何度か炎上した経験がある。最初は『そういうことを言っているのでない』と事情を説明したくもなったし、『なぜこのような受け取り方をされるのだろう』と悲しい気持ちになることだらけだった。だが今は、決して良い気分などとは思わないが、気にしないようになっている」

   西出さんは、そう言います。

   さらに、

「大切なことは、マナーを伝える専門家として、多くの人がそう思っているという事実を受け止めることである。学生の時は、試験の点数が自分の評価だったが、社会人になれば他人が自分を評価する。たとえその評価が不当だと感じても、そう見られているなら受け止めるしかない。受け止めたうえで、自分はどうするのかと考える。その姿勢がこの社会で生きていくうえで、非常に重要だと私は考える」

と言います。

   以前、西出さんは「失礼クリエイター」と呼ばれることがあり、大変憤りを感じたと言います。どのように咀嚼したのでしょうか。

「まず謙虚に受け止める。そして私たちは、失礼クリエイターにならないような発信のしかたを心がけなければならない。それがマナーだと考えている。今のマナー講師の人たちはどうだろうか。あえて老婆心ながら伝えるとするならば、昨今の世間からのマナー講師に対する風当たりは強くなっている」
「納得する理由なくマナーの型を言い切る伝え方や、その時の表情や態度、自分中心な姿勢などに起因すると感じている。そして、これに対する解決策は、ビジネスマナー講師であろうがテーブルマナー講師であろうが、マナーという言葉を用いて活動する以上、各々がその立場であることの自覚を持つことに尽きると思う」

   西出さんは、

「自分では気がつかないところで、非礼を働いていることもあるかもしれない。その点はこの場を借りてお詫びしたい」

と言います。

誹謗中傷は一気に燃え上がる

   いま、あなたは充実した日々を送っています。仕事も家庭も満ち足りた状態です。おそらく誹謗中傷をすることなど考えもしないはずです。あなたが、誹謗中傷をやめられないということは、自らの人生が満たされていないことを証明するようなものです。

   妬みや誹謗中傷は、次第に「快楽」へと変化し「幸福感」を感じるようになります。美味しいものを食べると「満足感」を得るのと同じ仕組みです。

   ところがより強い「満足感」を得るように、刺激の強いものを求めて「誹謗中傷の量」が増えていきます。この連鎖に気づかないとエスカレートして頭の中は「ネガティブ思考」に染まります。

   誹謗中傷は人を傷つけ苦しめます。言葉のナイフで相手の心を刺しているからです。ところが、人を傷つけ苦しめた人もそのままではいられません。傷つけた分だけ自分を傷つけているのです。そして、ブーメランのごとく跳ね返ります。妬みが負の感情を蓄積して自分のカラダを蝕むようになります。

   この連鎖の仕組みを理解しないかぎり、行動を改めることはできません。「妬みや誹謗中傷は不幸を引き寄せる」ことを頭の片隅に入れておきたいものです。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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