地方の再発掘に取り組む
コミュニケーションについても、いろいろ書いている。「雑談を止めるな! 『自粛警察』が文化そのものを衰退させる」とか、「飲食を交えたコミュニケーションを止めるな」などだ。堀江さん自身も立派な飲食業界の人だという。
もちろん被害を受けている。手掛ける飲食事業「WAGYUMAFIA」は、コロナ前は順調に世界展開を広げていたが、いったん見直しになった。コロナ禍の以降は黒字を出すのに苦労しているという。普通のビジネスマンならいった事業を閉じたほうが楽だと考えるかもしれないが、堀江さんは違った。
「感染リスクに過大に怯えるあまり、生きがいを手放すような決断を、僕は実業家である以前に、主体性を持つ人間として選択したくない!」
堀江さんは、2020年の春を最後に、海外に出ていないそうだ。その代わり、国内の地方出張を、毎日のように繰り返しているという。せっかくの機会なので、日本の地方の再発掘に力を入れている。
その際に役立っているのが、2018年にシェアで購入したホンダジェットだ。国内なら、だいたいの地方空港の間を、タクシーとさほど変わらない使い方で利用できる。午後に函館でゴルフした後、札幌で夕飯を食べることもできる。クルマなら4時間かかるが、飛行機なら20分だ。
北海道のスキーリゾート、ニセコ以外にも世界に向けてアピールできる地方の観光都市は少なくないという。長崎の五島列島、沖縄の宮古島などを例に挙げている。
日本ほど、都会だけでなく全国各地に名産グルメがある国も珍しいという。堀江さんたちの宇宙事業が根づいたことで、「ロケットの町」として全国区の知名度を得た北海道の大樹町も成功例だ。辺鄙な地方の町では今こそ、不要不急に求められるヒットの法則が、発掘されるのを待っている。「遠くへ行けないなら、近くを掘り起こせ」と書いている。