中国人民銀行(中国の中央銀行)は2021年9月24日に、仮想通貨の関連事業及び取引・マイニング(採掘)を全面禁止すると発表しました。
しかし、「中国で仮想通貨の禁止」って、毎年のように耳にしませんか?
今回は、中国と仮想通貨をめぐる「今」をお届けします。
ビットコイン下落も数日で回復
今回の仮想通貨規制の名目は「人々の財産を守り、経済・金融・社会の秩序を維持するため、仮想通貨の投機、関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」としていて、具体的には下記3点の規制が敷かれました。
● 海外取引所の中国向けサービス提供の禁止
● 金融機関、決済会社、インターネット企業の仮説的な仮想通貨の取引禁止
● これらの行為の監視を強化
この規制発表を受け、ビットコインの価格は一時10%ほど急落しました=上のチャート図参照。
しかし、その1週間後には価格を500万円台に戻し、さらに上昇を続けています。相場には織り込み済みだったのか、もはや聞き飽きたということなのでしょうか。
【中国の仮想通貨規制年表】
2013年12月:中国人民銀行が金融機関によるビットコインの使用を禁止
2017年 1月:中国人民銀行が中国国内の三大取引所OKCoin、BTCC、Huobiを呼び出し
2017年 9月:仮想通貨交換業者の中国人向けサービスが終了
2018年~19年:マイニング規制、アリペイなどを利用した仮想通貨の取引禁止
2019年 4月:政府が仮想通貨のマイニング禁止の方針を発表
2019年11月:ブロックチェーンは推進するも仮想通貨は禁止を発表
2021年 5月:マイニングの全面禁止
2021年9月24日:中国人民銀行が、仮想通貨に関わる取引を全面禁止すると発表
中国による今回の規制は、これまでの規制の抜け穴をふさぐ形で、サービス利用者・事業者ともに事実上、仮想通貨を取り扱えなくしました。
2022年のデジタル人民元発行に向けた引き締め?
また、今回の規制では「仮想通貨が伝統的な通貨と同じように流通することがあってはならない」と主張しています。
2022年に発行予定の、デジタル人民元(CBDC)を意識した文章であることが見て取れます。CBDCの導入を行っている国はまだありません。そのため、うまくいけば、中国は世界で初めてCBODを導入した大国となり、先進国よりもリードした立場になります。
さらに国の全取引が、CBDCの中央台帳で管理できれば、中国人民銀行は資金の流れをより細かく把握でき、またプログラムベースで管理できるようになります。
◆ 外国人観光客もCBDCが使えるようにCBDCは外国人観光客でも、制限額まで使えるとしています。たとえば入国する前のフライト中に、CBDCのアプリをインストールしておき、入国後に両替ナシでスムーズに支払いができるようになるなど、私たちにとってもメリットになりそうです。
2022年2月に開催予定の北京冬季オリンピックに向けて、CBDCの本格的な導入は始まったようです。
東京でも、オリンピックに向けて導入しようとしたモノはたくさんありました。記憶に残っているのは、2015年に安倍晋三首相(当時)が「2020年の東京には自動運転車がきっと走り回っている。ぜひ見に来てほしい」とアピールしていたことです。念ながら、それは導入できませんでした。
参考リンク:「安倍晋三首相 東京五輪までに『自動運転車』普及 科学技術のフォーラムで」(2015年10月4日付 産経新聞)
中国は、ほぼすべての観光客が使うであろう現地通貨をデジタルにし、驚きと感動を届ける「おもてなし」をしようとしているのかもしれません。
(ひろぴー)