米国株は投資の好機
この「週刊ダイヤモンド」の特集に連動したように展開しているのが、「週刊エコノミスト」(2021年10月19日号)だ。特集のテーマは「今こそ買う! 米国株」。
9月の米国株は大きく調整したが、米国企業の業績見通しは明るい。下がった今こそ、投資の好機だ、と同誌は見ている。調査会社リフィニティブの集計によると、S&P500構成企業の1株当たり利益(EPS)は、21年で前年比43.9%増と予想されている。さらに成長は続き、22年も9.6%増、23年も7.3%増と見ている。
米国株に詳しい三菱UFJ国際投信の荒武秀至チーフエコノミストは、S&P500は徐々に回復し、年末までには過去最高の4600ポイントを目指すと予想している。
そうなれば、適度に下がった今の株価水準は長期的な視点からすれば「投資の好機」と編集部は考えている。米国を代表するIT企業「GAFA」の業績は引き続き強い。4社いずれもが2桁の増収増益を確保。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが止まるとは考えにくい。バイデン政権が掲げる「脱炭素」政策により、独自の技術やサービスを武器に成長する企業が米国では増えそうだ。「目先の波乱要因を消化し終えれば、これらの新技術でリードする米国企業が株式市場で勢いを取り戻す可能性は高い」と書いている。
特集ではネットで買う米国株として、取り扱い5000銘柄以上1000円から積み立てできる方法を紹介している。
また、個別銘柄としては製造・医療・金融の11銘柄、半導体・ITの11銘柄、航空・ソフト・決済の11銘柄について解説している。米国株投信・ETFについても25銘柄を取り上げている。
注目される米金利の行方について、木内登英氏(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)は、「11月にも金融緩和縮小開始、市場は23年の利上げを意識か」、という見解を披露し、波乱リスクは中国と見ている。「23年以降は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げとデジタル人民元発行をきっかけとするドルの地位低下への懸念が重なるだろう。その結果、米国を起点として、世界の金融市場に波乱が起きるリスクが一気に高まるのではないか」と書いている。
米国株に期待する一方、警戒を忘れてはいけないということのようだ。