「異例の人事」の背景に開成人脈
この学園生活最大のイベントである大運動会を通じて培われた強固な人間関係は、半端な同朋意識ではなく、たとえ面識のない者同士であっても、ひとたび卒業生とわかれば、何かあればいつでも集まって協力するという、稀にみる結束力を持った目に見えない集団として常に存在していると言っても過言ではありません。
従い、岸田政権はこの開成で培われた分厚いOB人脈の活用と、首相自身を中心としたチームワーク重視の政治姿勢こそが、国民の期待に応えるに足るものになるか否かの大きなカギを握っているとみています。
OB人脈に関しては、すでに新設で組閣の目玉ポストである経済安保担当大臣に当選3回の若手、小林鷹之氏を抜擢。さらに筆頭秘書官である政務秘書官には、前経済産業省の事務次官の島田隆氏を指名・登用し、早々に開成人脈を活用する手に打って出ています。
嶋田氏は私と同級生で岸田首相の2年後輩。彼に関しては、経済産業省の事務次官時代に管轄の商工組合中央金庫で制度融資を巡る不祥事があり、民間からのトップ登用を検討するも、軒並み断られ当時、自民党政調会長であった岸田氏に相談。氏の開成時代の同級生で、第一勧業銀行(現みずほ銀行)で総会屋事件からの立て直しや西武グループで鉄道、ホテル事業の立て直しに実績のあった関根正裕氏を口説き落としてもらったという、開成人脈での恩義があります。
今回、元事務次官が首相秘書官に就くという異例の人事は、先輩への恩返しの意味もあるように思えます。