我が国の新たな首相に自由民主党の岸田文雄氏が就任しました。
政治面以外での新首相関連の話題は、まず日本の歴代首相としては、初代の伊藤博文から数えてちょうど第100代の記念すべき首相であること。そしてもうひとつ、全国でも指折りの進学校である開成高等学校(東京都荒川区)の卒業生として初の首相であるということが、メディアで紹介されています。
個人的な話で恐縮ですが、岸田首相は高校時代に同じ時を同じ校舎で過ごした、私の2年先輩にあたります。開成は受験校としてだけでなく伝統ある私立高校として100年超の歴史に裏打ちされた特徴的な風土がありますので、今回は開成高校出身の岸田首相にどんな期待が持てそうか、私感を書いてみます。以下、雑談的にお読みください。
人間関係の緊密さを培う大運動会
開成高校OB最大の特徴は、その縦・横・斜めの人脈における人s間関係の緊密さにあります。単純な愛校心によるOB間のつながりということであるならば、慶応義塾大学のOB組織である三田会なども、財界などでその存在感の大きさは確かにあります。
しかし、開成のそれは、根底にあるのが単純な愛校心ではなく、中高6学年全員参加の学生自主運営による大運動会の開催に携わったという卒業生全員の共通体験に裏打ちされた同胞意識なのです。
開成高校では高校2、3年はクラス替えがなく、同じクラスメイトと2年間を過ごします。いつからそのような制度になったのかは不明ですが、基本的はこの制度は3年生が開催主体となる中高全校の一大イベントである大運動会を円滑に運営させるためのものであるとされています。
運動会の準備は高校2年のクラスが決まった瞬間に始まり、1組=紫、2組=白、3組=青...と8クラスが色分けの下、基本は高校3年生をリーダーとして全6学年が8色に分かれ学年ごとの種目で戦うのです。
高校2年になると、同じ色の3年生の運動会運営を手伝いながら、そのやり方を見て学びます。中学1年生から高校2年生までのすべての競技は、技術指導、戦略立案、実践指揮まですべて高校3年生が担当します。ですから、クラス全員が中1係~高2係、桟敷のシンボル画のデザイン・執筆を担当するアーチ係、学生が自作して全員で合唱するテーマ曲を指導するエール係など、どれかの係に必ず属し、全員協力の下で組織として運動会に向けて準備を進めるのです。高校2年から1年がかりで、全員一丸で運動会当日に向けて進むわけなのです。