きょうは、50代のEさんがいらっしゃっています。
「コロナ禍で、高校の同級生が職を失って、タクシー運転手や営業職に転職したという話を耳にするようになりました。今すぐ、今働いている会社がどうこうなって職を失うことはないと思いますが、定年後の再就職ってできるんだろうかと不安に思います。
これから、60歳以降も働きたい人は増えていくと思いますので、再就職の競争率も上がっていくと思うんですよね。今から、できることはやっておきたいと思います」
高度なスキルや経歴がある人は再就職できる
集団を「2対8の法則」や「2対6対2の法則」と分けますが、最初の2割の人は、高度なスキルや経歴のある人にあたるため、再就職して問題なく働き続けられる人です。また、別の2割の人は、選り好みしないで転職活動をするので、なんとか働き口を見つけることはできます。
問題は割合の大きい残りの6割や8割の人ですね。スキルはあったとしても、最初の2割の人ほど優秀ではないので、やはり年齢面で引っ掛かり採用までにつながらないということもあるのです。そこで、50代以降で再就職するには、仕事の選り好みをしないことがポイントです。
つまり、まずは今の自分の価値を受け入れることです。
50代になると、
「これまでこんな営業成績を残した」
「何十人の部署の統括を行ってきた」
そんな、これまでの実績や大企業で働いてきたという自負もあると思いますが、そこに縛られているままだと、なかなか再就職はうまくいきません。
Eさん、「もし再就職する際に、同じくらいのスキルや実績がある、40代や50代の人の職務経歴書と60代になった自分を比べたら、採用担当者はどちらを選ぶのか?」と、一度考えてみてください。
Eさんが採用担当者だったら、この先の働く期間が長い40代や50代を当たり前のように選ぶのではないでしょうか。
これまでの実績はもちろん大切ですが、転職市場の中での自分の価値をきちんと認識することが、まずは大事です。プライドが大き過ぎると邪魔をしてしまうことがあるので、Eさんも今から市場における自分の価値を知っておきましょう。
自分より若い層に比べて、自分の年齢は市場価値が低いことを自分自身で受け入れておくと、ショックを受けるのではなく、他の部分で補って行こうと前向きな発想に切り替えることができますよね。プライドが高いとそうはいきません。
だんだん思いどおりにいかないことが増えてくる
20代、30代だと目の前の自分の仕事に対して評価されることが多かったと思いますが、50代になると関わる業務の範囲が広がっていくため、責任を負う範囲も広がってくると思います。自分のことだけではないので、思いどおりにいかないことや、想定外のことも増えていきます。
また、50代以降の再就職は一般的に長期化しやすいと言われているので、精神的にもかなりの負担になります。そこで、今からピンチや失敗に動揺しない心の持ち方を鍛えることが必要です。
物事に対して恐れない精神力を「胆力」と呼びます。この「胆力」を持っている人は、目の前に起こる物事に対してポジティブに捉えることや、自分で決めたことに対して責任を負う覚悟を持っている特徴があります。
責任感がある人は、積極的にチャレンジもできるのです。ぜひこの「胆力」を鍛えてみましょう。
そこで今後の人生にもたくさん起こるであろう、失敗やピンチな出来事、想定外の出来事に動揺しないよう、「胆力」の鍛え方を紹介します。
・多角的な視点を意識する
狭い考え方に固執してしまうと、そこから思考が抜け出せません。多角的な視点を意識し、物事をいろいろな角度から捉えるように意識しましょう。
ピンチの際にもあらゆる角度から可能性を見つけることができるようになります。これまで読まなかった分野の本を読んだり他業界の人と話をしてみたりすると視野が広がります。
・日頃から新しいことにチャレンジする
新しいチャレンジには勇気も必要です。挑戦には、失敗もつきものですし、失敗から反省、修正するという地道な努力から胆力が鍛えられていきます。
これからさらに高齢化社会が進み、再就職する方も増えていくでしょう。日本にとっても初めての出来事です。Eさんも、再就職に限ったことではなく、この先どんなことが起こっても動じない強い心を、今から鍛えておきましょうね。
(ひろ子ママ)