なぜ麻生・鈴木の新旧財務大臣が投稿を認めた?
金融アナリストの久保田博幸氏は、このタイミングでの投稿の狙いを探る。「国民は本当にバラマキを求めているでしょうか。日本人は決してそんなに愚かではないと私は思います」と、文藝春秋に寄せた矢野次官の発言に、「これは私の経験からも感じている」としながら、
「このタイミングで財務省の事務次官がバラマキ政策の徹底批判を行ったことは興味深い。麻生太郎前財務相もこれ(投稿)を止めることはせず、現在の鈴木俊一財務相も中身は問題だと思わないとの考えを示した。すぐに緊縮財政をしろというわけではない。バラマキ型の経済対策では効果どころか、債務状態のさらなる悪化など副反応のほうが怖いことを示し、少なくとも財政規律を守る姿勢を維持すべきとしていると思われる。いまさらながらではあるが、バラマキ合戦はやめるべきである」
と見る。
また、一般の人々からは猛反発が起こっている。ヤフコメにはこんな声が寄せられていた。
「財務事務次官らしい素晴らしいコメントです。財政再建、財政健全化。すべて増税への理由付けです。(投稿では)日本の借金は大々的に報じますが、借金に匹敵する規模の日本国資産について報じないあたり増税推進派の財務省事務方トップらしいです」
「事務次官、コロナ税でも出したいのでしょう。国債が多いのはわかるが、まだ資産も多いですから。ふつう借金を考えるとき、資産も考えるのですが、財務省って『借金で、てえへんだ』と騒ぐ割に資産があることを黙って税金を上げるのが今までの常套手段。それに騙され30年、ついに日本の経済は停滞し続けて貧乏になりました。国債って日本銀行が発行するので、海外と違ってハイパーインフレしないし、むしろ今は税金を下げて経済を回す時です。なぜ国民が選んだ議員に対して官僚が上から目線で、雑誌に掲載するのだろうか」
「財務省のトップが、家計や一企業レベルの視点から国家経済を観ているというお粗末さを露呈した。家計や企業は、収入と支出で経済を観ているが、国家は、日本円経済圏を全体として観るべきであり、政府の収支ではなく、国家においてどれだけお金をぐるぐる速やかに円滑に回すか、回りやすい環境を整えるかに一意専心しなければならない。とどのつまり、GDP=国内総生産=国内総所得(分配)=国内総支出なのだから」
(福田和郎)