「人気取りのバラマキが国を滅ぼす!」財務次官の反乱に岸田首相も激怒 裏には財務省の増税シナリオ?

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矢野氏は財務省内有数の財政健全化論者

「国家公務員は『心あるモノ申す犬』であらねば」という財務省の矢野康治事務次官(財務省の公式サイトより)
「国家公務員は『心あるモノ申す犬』であらねば」という財務省の矢野康治事務次官(財務省の公式サイトより)

   国家財政を預かる現役トップ官僚でありながら、政権に立てつくような投稿をした矢野康治財務次官とは、どういう人物なのだろうか――。

   1985年に一橋大学経済学部卒で、税の徴収を担当する主税局を中心に歩いてきた。財務省内でも厳格な財政再建論者として知られ、「原理主義者」と評されることもあるという。今年7月に次官に就任したが、歴代、東京大学卒で予算を編成する主計局畑出身者が次官を務めてきた財務省では、極めて異例の人事という。

   その人事の背景を、経済紙「財界オンライン」(7月9日付)の「財務次官に主計局長の矢野氏 組織立て直しと菅政権下支えが課題」が説明する。矢野次官は、2012~15年に当時官房長官だった菅義偉前首相の秘書官を務めた「側近中の側近」だったとして、こう続ける。

「矢野氏の次官抜擢の背景について、有力次官OBは『部下からの人望が厚い矢野氏をトップに据えることで組織の立て直しを図る狙いがあった』と解説する。同省では近年、公文書の改ざん問題や元次官のセクハラ発言問題などスキャンダルが相次いだ。しかも、安倍晋三前政権下では、経産省出身官僚に税制や予算まで政策決定の主導権を握られた。
その結果、主計局を中心に現場の士気は著しく低下。そこで昨夏の人事で、省内でも有数の財政健全化論者の矢野氏を次官待ちポストの主計局長に抜擢し、省内の不満解消を図った。コロナ禍に対応した経済対策に伴い財政赤字は一段と膨らんでおり、年内には財政健全化目標の見直しも予定されている。『官房長官秘書官時代から、物おじせず諫言してきた』といわれる矢野氏。次官としてコロナ対策の巨額赤字を埋め合わせる特別増税などに道筋を付けられるか、真価が問われそうだ」

   なるほど。財務省としては「特別増税」の道筋をつける「剛腕の切り札」的な人物のようだ。

   では、そんな矢野次官が、「文藝春秋」にいったいどのようなことを投稿したのだろう。「文藝春秋」(2021年11月号)「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」=メイン画像を参照=によると、やむにやまれぬ「大和魂」にかられたからだと、こう指摘する。

「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。
数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます」

   そして、自分は「国家公務員は『心あるモノ申す犬』であらねばと思っています。不偏不党を貫き、相手が政治家の先生でも役所の上司でもはっきり言うようにしてきました」と続けるのだ。

   心ならずも恥ずべき財務省の公文書改ざん問題では、自分自身、調査に当たった責任者であり、あの恥辱は忘れたことがない。「『どの口が言う』とお叱りを受けるかもしれません。そのうえで、『勇気を持って意見具申』せねばならない」として、日本の現状をタイタニック号にたとえるのだった。

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