人がコミュニケーションを取る際、「声」と同じように重要な役割を担っているのが「表情」です。喜怒哀楽をはじめ、元気なのか、体調が悪いのか、表情を使って多くの情報を発信していきます。
しかし、今はコロナの影響もありマスク着用が義務化されています。表情がわかりにくいことから、「感情が伝わりにくい」とも言われています。
「年収の9割は声で決まる! 」(秋竹朋子 著)清談社Publico
自分の声に自信のない人が多いという現実
この本の著者、秋竹朋子さんは、自分の声に不満や悩みを持っている人が多いと指摘します。
「悩みの内容は人それぞれですが、定番といえるのが『声が通らない』『聞き返される』『滑舌が悪い』『よく噛む』『説得力がない』の5つです。スクールにくるというのは、自分の声の欠点に自覚があるということです。あるいは周囲から指摘されて、できれば直したいと思っています。この時点で一歩前に進んでいるといえます」
秋竹さんは、こう続けます。
「たいていの人は、自分の声に不満を持っていたり、嫌いだと感じていたりしても、『生まれつきだから変えられない』『癖のようなものだから直らない』と諦めてしまいます。
生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声を想像してみてください。誰に教えられたわけでもないのに、大きなよく通る声を出し心に強く訴えかけてきますよね」
さらに、赤ちゃんは力いっぱい泣いているのに、喉がかれるということもありません。腹式呼吸をして、喉に負担のない声の出し方をしているからだ、と秋竹さんは言います。
「生まれつきというのならば、もともとは誰もが正しい声の出し方を、生まれながらに知っているのです。確かに、悪い声の出し方は、癖のようなものかもしれません。自我が芽生え、言葉を覚え、生まれたばかりのころのように、リラックスして、なにも考えず、自然に声を出せなくなってしまった。それがいつからか習慣化してしまい、すっかり染みついてしまったんですね」
「ただ、この癖は直すことができます。なにかの意識が邪魔をして正しく発声できなくなってしまったのなら、今度は正しい声の出し方を意識して、繰り返し繰り返し身体に染み込ませていけばいいのです。歯並びや耳鼻咽喉の問題、あるいは病気などに起因しているものでない限り、声の悪癖は100%直すことができます」