「ええっ、ドコモショップで他社の格安スマホを売るの!?」
携帯電話料金の値下げを期待していた人たちから驚きと失望の声が起こった。2021年10月7日、NTTドコモが格安スマホ事業者2社の携帯電話契約を系列販売店で扱うと発表したのだ。
ドコモの狙いはどこにあるのか。携帯電話料金はさらに安くなるのだろうか。
「550円の新プラン」の第1報に踊ったが...
NTTドコモの驚きの発表を、読売新聞(10月8日付)「ドコモ低価格プラン、販売店で契約可能に... 格安スマホ業者と連携」がこう伝える。
「NTTドコモは10月7日、格安スマートフォン事業者(MVNO)と連携し、全国の系列販売店で低価格の料金プランの申し込みを始めると発表した。自前の格安ブランドを持つ競合他社に対抗し、安価にスマホを利用したい顧客の取り込みを図る。ドコモは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)と、フリービットの2社と連携する。このうち、『OCNモバイルONE』ブランドで格安スマホ事業を展開するNTTコムは、月間データ容量が0.5ギガ・バイト(GB)で税込み550円の新プランを10月21日から始める。3GBは990円となる」
フリービットの取り扱いは12月から始める。また、連携先の格安スマホの契約者が、ドコモのポイントサービスの「dポイント」が貯まるようにする。ドコモにとっても会員基盤の拡大につながる仕組みで、今後も他の格安会社との連携拡大を目指す方針だ。
それにしても、NTTドコモが格安スマホ業者に系列の販売店でサポートする狙いはどこにあるのだろうか。読売新聞はこう説明する。
「利用者にとっては、乗り換え手続きは必要なものの、全国約2300のドコモショップで新プランの契約ができるようになる。格安スマホや、ドコモが今春開始した割安ブランド『ahamo』(アハモ)はインターネットでの手続きが中心で、高齢者らには申し込みが難しかった。
携帯電話業界では、低価格帯の競争が激しくなっている。(IT関連の)調査会社MM総研によると、スマホ利用者の半数以上は月間のデータ通信量が3GB以下にとどまる。こうした環境を踏まえ、KDDI(au)は『UQモバイル』、ソフトバンクは『ワイモバイル』といった格安ブランドを強化している。対して、ドコモは自前の格安ブランドの設立そのものは見送った。格安事業者の経営を圧迫しかねないとの判断もあったとみられる」
つまり、KDDI(au)、ソフトバンクを含め大手3社の中で、ドコモだけが格安のサブブランドを持っておらず、データ使用量が少なく、手ごろな料金を望む多くの層のニーズに応えられなかった。その「空白」を格安スマホとの提携で埋めようというわけだ。
この結果、ドコモは20GB以上の大容量を「ギガホプレミア」など、3GB以上20GB未満の中容量を「ahamo」など、3GB未満の小容量を「ギガライト」や格安スマホのプランなどでカバーする、棲み分けの料金プランが完成したことになる=下図参照。
これによって大手3社間で小容量向けの低料金プランが一応出そろったわけだ。時事通信(10月7日付)「ドコモも低料金プラン 格安スマホ2社と連携 小容量向け戦略出そろう、携帯大手」が、こう報道する。
「小容量向けの料金プランでは、ソフトバンクがオンライン手続き専用の「LINEMO(ラインモ)」で3GB、月990円のプランを今年7月に投入。KDDIはオンライン専用の「povo(ポヴォ)」を改定し、基本料を0円にしたうえで利用者が使いたいデータ量を選べるようにした。3GB(30日間)のデータ料金は990円となる。楽天モバイルは月1 GBまで0円、3GBまでなら1078円で利用できる。ドコモを含め、3ギガは1000円程度でそろった」