ガソリン高騰160円! まだ上がるってホントか? もうドライブどころじゃない エコノミスト6人が分析(1)

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年末の世界的なコロナ再拡大を警戒した産油国

   それにしても、主要産油国でつくる「OPECプラス」が原油の一層の増産を控えると決めたのはなぜだろうか。

   新型コロナウイルスの世界的な第4波(編集部注:日本では第6波)の襲来を警戒したからだと説明するのは、独立行政法人・石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の上席エコノミスト野神隆之氏だ。

   JOGMECの石油天然ガス資源情報の最新版(10月5日付)「OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国が従来方針に基づき2021年11月についても日量40万バレル減産措置を縮小する旨決定(速報)」(JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト)で、こう説明した。

「世界的な新型コロナ流行の第3波は8月下旬前後にピークを打った後、沈静化しつつあるように見受けられるが、今後冬場に向け第4波が到来することをOPECプラス産油国は懸念していたとされる。第4波が到来し世界経済が減速するとともに石油需要の伸びが鈍化する中で、産油国が減産措置の縮小を加速すれば、石油需給の緩和感から市場心理が急速に冷え込むことにより、原油価格の急落を招く展開となる恐れもあった。
このため、OPECプラス産油国としては、今般の会合では減産措置の縮小を踏みとどまるとともに、今後の新型コロナを巡る状況に対する展望が開けるまで、様子を見ることしたものと考えられる」
2021年の原油価格の推移(JOGUMEC公式サイトより)
2021年の原油価格の推移(JOGUMEC公式サイトより)

   今後はどうなるのだろうか。

「今後の原油市場を巡る注目点としては、まず、11月1日に始まる(終了は翌年3月31日)米国などでの暖房シーズンに伴う暖房用燃料需要期の到来による原油価格の動向であろう。欧州当局者による、(脱炭素の)より厳しい地球環境規制導入の動きにより、2021年の欧州天然ガス価格、およびアジアのLNG(液化天然ガス)価格が、通常下落するはずの春場や秋場の時期でも十分に下落せず、史上最高水準に到達する場面が見られた。
また、(世界的な脱炭素の流れで減産されたため)石炭価格も高騰している。このようなことから、すでにパキスタン、バングラデシュ、中東諸国の一部は、価格が高騰した天然ガスの調達を見送る一方、発電部門における代替燃料として重油を含む石油製品の購入を推進し始めつつある。今後もこの流れに従って、発電用や冬場の暖房用石油製品の購入が進む結果、原油の価格に上方圧力が加わることが想定される」

   つまり、天然ガスと石炭の価格が上昇した結果、ガソリンを含む石油の価格上昇という「エネルギーのトリプル高騰」が進むというわけだ。年末に向けてどうなるのか。その混乱に拍車をかけそうなのが、中国の動きだ。

「さらに、2021~22年の冬場に停電を回避すべく、発電部門向け燃料を確保するよう中国の韓正副首相が同国大手国有エネルギー企業に対し強く指示した旨を9月30日にブルームバーグ通信が伝えている。今後、同国企業が積極的に原油購入を行う結果、世界石油需給が一層引き締まることを通じ、原油価格が上昇する可能性があるとの見方も市場で発生している」(野神隆之氏)
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