中台の加盟申請で緊迫するTPP 米国離脱の隙つく中国、対応難しい日本、「経済」だけで解決できない

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TPP、もとは米国による「中国けん制」だった......

   日中韓、東南アジア諸国など15か国でつくる「地域的包括的経済連携(RCEP)」(20年11月合意、22年1月発行目標)と比べ、TPPは関税撤廃の水準が高いほか、投資などについては、国有企業の優遇を禁じているほか、国境を超える情報移転の自由の確保、サーバーなどコンピューター関連設備の自国内設置要求の禁止、進出企業にソフトウェアの設計図であるソースコードの開示を求めることを禁止、強制労働の撤廃―― などのルールが決まっている。

   こうした点は、いまだに国有企業が幅を利かせ、企業への統制をむしろ強め、データの海外移転を制限するなどし、また新疆ウイグル自治区での人権侵害などが問題視される中国には、受け入れにくいものも多い。

   通商関係者が、中国のTPP加盟申請について「ブラックジョーク」と苦笑いするように、そもそもTPPは中国けん制をにらんで米オバマ政権が中心になってまとめた。

   いまのような「中国包囲網」というまでの位置づけではないまでも、通商の自由化、経済活動全般の公正なルールを掲げ、中国の拡張を抑え、さらには世界経済に統合させようという狙いを併せ持っていた。

   米国がトランプ政権からバイデン政権に代っても、「海外に雇用を奪われた」との国内世論が根強く、貿易交渉には及び腰で、TPP復帰はまったく見通せない。こうしたアジア・太平洋地域の「隙」をついてきたのが中国の加盟申請といえるだろう。

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