週刊東洋経済「EV産業革命」エコノミストは株!「岸田銘柄」ダイヤモンドが「医学部&医者 2021」特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   10月4日発売の「週刊東洋経済」(2021年10月9日号)の特集は、「自動車立国の岐路 EV産業革命」だ。欧州を震源に巻き起こるカーボンニュートラルの奔流が、トヨタ自動車を頂点とする日本の自動車産業を揺さぶっている。

   日本にとってEVシフトは「解」なのか? だとすれば何が望まれるのか。「EV産業革命」の行方を占っている。

日本はCO2削減の「優等生」だ!

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「週刊東洋経済」2021年10月9日号

   9月に行われた日本自動車工業会の記者会見で、会長を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長が、脱炭素を進める政府の方針に異論を唱えたことが波紋を広げている。

   トヨタ会長らがEV一辺倒のカーボンニュートラル路線に強く反対する理由の一つは、自分たちの過去の取り組みに自信があることだ。日系自動車メーカーはいち早くHVなど電動車を普及させた結果、この20年で23%(5400万トン)二酸化炭素の排出量を削減した。

   同じ20年で米国が9%、ドイツが3%排出量を増やしたことに比べると、日本は優等生であることがわかる。

   もう一つは、カーボンニュートラルは雇用問題と密接に絡むということだ。自動車産業が生み出す雇用は全就業者の1割に当たる550万人だ。出荷額は全産業の2割を占める70兆円に及ぶ。さらに、仮にEVシフトが進んだとしても、本当に環境にいいのかという問題もある。欧州のEVシフトが日本を狙い撃ちにした「政治的対応」ではないか、という不信感も底流にはある。ともあれ、EV化に雪崩を打った世界に対して、日本車も勝負に出るしかないのが実状だ。

   9月上旬、ドイツミュンヘンで開かれた2年ぶりの自動車ショーのルポからレポートは始まる。ショーはEV一色に染まったのだ。

   出展した独メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス社長は「EVオンリーへの抜本的シフトこそが、当社と顧客、地球にとってすばらしい未来を実現する正しい方法だ」とEVに突き進む意義を語ったという。

   独フォルクスワーゲンも、25年までに発売するコンパクトEVの試作車を発表。満充電時の航続距離約400キロで、約2万ユーロ(約260万円)と現行のゴルフよりも3割以上安い価格が注目を集めた。欧州連合(EU)ではハイブリッド車(HV)を含む内燃機関車の新車販売を2035年までに実質的に禁止する方針を示した。

   一方、欧州以外では状況が異なる。米国では2030年、中国や日本では35年でもHVを許容する。ただ、パリ協定が掲げる50年の脱炭素達成を考えると、どの国・地域も35年から40年には新車をすべて走行中に二酸化炭素を出さないゼロエミッション車(ZEV)に置き換えないといけないと見られる。

トヨタは「全方位戦略」

   米ゼネラル・モーターズ(GM)は今年1月、35年までにすべての新車をEVなどのZEVにすると宣言。4月にはホンダも40年までに新車販売の100%をEV・FCV(燃料電池車)にする方針を打ち出した。

   特集では、EVが自動車産業の構造を大きく変えるトリガーになる可能性を指摘している。ガソリン車で3万点ある部品数は、EVでは2万点に減る。また高度なすり合わせ技術が求められるエンジンとその周辺部品が不要になり、参入障壁が下がる。

   電子機器の受託製造サービス(EMS)の世界大手、台湾の鴻海精密工業はIPhoneの次の収益源としてEVを位置づけているという。

   こうした内容の記事は、これまでも読んだことがあるが、本特集はトヨタ自動車に焦点を当てたところに真骨頂がある。EVに猛進する欧米勢とは対照的に、トヨタは「全方位戦略」を掲げているというのだ。その一つが章男社長肝いりの「水素エンジン」だ。

   トヨタが車を販売するのは170以上の国で、電力事情も一様ではない。だから、全方位戦略にも一定の合理性がある、と記事は評価している。

   ほかにもライバルであるいすゞ自動車と日野自動車が手を結んだ「日の丸トラック連合」の危機感、背水の陣で挑むホンダ、日産の課題、部品会社の生存競争、軽自動車のEVシフトは可能か、など関連記事が盛りだくさんだ。

   最近、中古のガソリン車を買ったばかりの者としては、この先EVに乗る機会はあるだろうか、と思いながらも熱心に記事を読んだ。あと十数年後、日本メーカーがどうなっているのかが気になったからだ。

高齢人材活用でパソナに注目

「週刊エコノミスト」2021年10月12日号
「週刊エコノミスト」2021年10月12日号

   「週刊エコノミスト」(2021年10月12日号)の特集は、「日本株 上昇相場へ」。10月4日、岸田文雄新政権が発足。翌5日朝の東京株式市場で、日経平均株価は一時1000円近く大幅に下落する波乱含みのスタートとなったが、大丈夫なのだろうか。

   岸田新首相は発足と同時に、衆議院を解散する方針を明らかにした。衆議院選挙は今月31日投票の見通しだ。特集記事は、日本株がこの先、さらなる高値を目指すのか、それとも腰折れするのか。それは具体的な政策よりも、「岸田氏率いる自民党が総選挙を制し、『長期安定政権』を築くことができるかどうかにかかっている」との市場の見方を紹介している。

   日本株は長期安定政権で上昇し、短命政権で停滞してきた2001年以降の経緯にふれている。その一方、岸田氏の経済政策にも注目している。

   ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真CEOは、「『金持ち優遇は許さない』という再配分重視の経済政策は歓迎すべきだが、金融課税の累進化を目指す政策は株式市場には非常にネガティブ」と話している。

   一方で、個人投資家の中には、早くも岸田政権で株価上昇が見込める「岸田銘柄」を物色する動きもあるようだ。「高齢人材活用を打ち出しているため、人材派遣のパソナグループやパーソルホールディングスに注目だ。エネルギー政策で原発推進を掲げており、再稼働で先行する関西電力や四国電力も見直されるだろう」という見方を紹介している。

   こうした政治的な思惑以外にも、日本株の上昇余地はあるようだ。「設備投資拡大は日本に好機。製造業復活で3万3000円も」という新井洋子氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ・グローバル投資ストラテジスト)の見解や、「日本株への投資判断の材料になる重要指標が再び機能し始めた。日経平均PER(株価収益率)はやや割安か。不確定要素はソフトバンクグループ」という井出真吾氏(ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト)の見方を紹介している。

本当に医者になりたい人には朗報

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「週刊ダイヤモンド」2021年10月9日号

   「週刊ダイヤモンド」(2021年10月9日号)の特集は「医学部&医者 2021」。この手の特集を何度も見て、「またか」と思ったが、どうも事情が違うようだ。ポストコロナの医学部入試では、エリート男子が医学部離れを起こし、大チャンスが到来というのだ。本来の医師志望者にとっては見逃せない内容だ。

   私立大の医学部は対前年比で志願者を減らしたところがほとんだだ。国公立大の志願者数は微増したとはいえ、「全体としては今後医学部は易化する」という見方だ。

   数年前から成績優秀層の情報系学部への流出が見られ、私立大医学部の偏差値は下降しているという。また、私立大医歯学部受験に特化したメルリックス学院の鈴村倫衣学院長の「私立大の中堅医学部あたりの実力だと思っていた生徒が、国公立大に合格するケースがここ2~3年で明らかに増えた」というコメントを紹介している。

   医学部の偏差値が高いからという理由で医学部を志望していた成績優秀者の層が去ったのは、本当に医者になりたい層には朗報といえる。

   特集では、学力&資金不足対策の切り札として、地域枠と同窓会枠の使い方を紹介している。たとえば、2022年入試における新潟県の地域枠は、国立の新潟大学33人のほかにも、順天堂大2人、関西医大2人、昭和大7人のほかに、東邦大5人、東京医大2人、杏林大2人を新設する。

   順天堂大では、学費よりも貸与額の方が大きい。私立大医学部に通って「お釣り」がもらえるのだ。9年間既定の進路で従事すれば返す必要はない。県外からの受験も可能だ。

   また、かつて「裏口入試」と言われた「同窓会枠」も堂々と表玄関に出てきたという。岩手医大、東邦大、日大などの同窓会枠を紹介している。

   今後、国は医者の地域偏在対策のため、一般入試の定員は減らしていく方針だ。それ以外の入試枠に注目する必要がある。「とにかく医者になりたい」なら、地域枠を使うこともリーズナブルな選択かもしれない。

   特集では、灘高から東大理三への黄金コースに異変の兆しがあるなど、中高一貫校の医学部シフトについても詳しく取り上げている。コロナ禍は、医学部入試にも影響を与えたようだ。本当に医者になりたい人にとっては望ましいことかもしれない。(渡辺淳悦)

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