トヨタは「全方位戦略」
米ゼネラル・モーターズ(GM)は今年1月、35年までにすべての新車をEVなどのZEVにすると宣言。4月にはホンダも40年までに新車販売の100%をEV・FCV(燃料電池車)にする方針を打ち出した。
特集では、EVが自動車産業の構造を大きく変えるトリガーになる可能性を指摘している。ガソリン車で3万点ある部品数は、EVでは2万点に減る。また高度なすり合わせ技術が求められるエンジンとその周辺部品が不要になり、参入障壁が下がる。
電子機器の受託製造サービス(EMS)の世界大手、台湾の鴻海精密工業はIPhoneの次の収益源としてEVを位置づけているという。
こうした内容の記事は、これまでも読んだことがあるが、本特集はトヨタ自動車に焦点を当てたところに真骨頂がある。EVに猛進する欧米勢とは対照的に、トヨタは「全方位戦略」を掲げているというのだ。その一つが章男社長肝いりの「水素エンジン」だ。
トヨタが車を販売するのは170以上の国で、電力事情も一様ではない。だから、全方位戦略にも一定の合理性がある、と記事は評価している。
ほかにもライバルであるいすゞ自動車と日野自動車が手を結んだ「日の丸トラック連合」の危機感、背水の陣で挑むホンダ、日産の課題、部品会社の生存競争、軽自動車のEVシフトは可能か、など関連記事が盛りだくさんだ。
最近、中古のガソリン車を買ったばかりの者としては、この先EVに乗る機会はあるだろうか、と思いながらも熱心に記事を読んだ。あと十数年後、日本メーカーがどうなっているのかが気になったからだ。