販売ディーラーの生き残りをかけた大転換は?
日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久さんは、こう説明する。
「数年前、とある自動車メーカーのディーラーから相談されたことを思い出します。クルマがオンラインで購入された時代のカーディーラー網はどうしたらよいかというもの。その時はまだ先のように思えましたが、意外と早くやってきたというのが素直な感想です。もちろん、車は修理や点検があるので販売店は必要ですが、今の数でよいのか議論が分かれるところです。
一方でカーディーラーは幹線通り沿いのクルマで行きやすいところに構えており、その特性を活かして新しいビジネスを行えばチャンスがあるとも言えます。ネット販売とディーラー販売をどう棲み分けしていくのか、カーディーラー網を使ってどう新しいビジネスを作っていくのか、今後が注目されます」
経営コラムニストの横山信弘さんも、販売ディーラーの存続に思いをはせた。
「全国に存在する販売ディーラーの存続にかかわる話だ。携帯電話の販売店も激減した。『クルマだからリアルで確認しないと』という考え方はゼロにはならないが減っていくと考えると、クルマの販売チャネルも時代の変化とともに変遷していくということだ。総務省の『令和元年労働力調査年報』には、『販売従事者』の70%は職を失う可能性があると記されている。つまり、お客様の高度な問題解決に関わる提案ができない販売員は、オンライン化の波に押し流されていくということだ。地域密着型の販売ディーラーは生き残りをかけてビジネスモデルそのものの転換を迫られている」
(福田和郎)