電気、ガス料金の上昇に家計悲鳴 原因はLNG価格の急騰にあり、その原因を探ると......

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「脱炭素」実現への動きが影響

   こうした天候や足元の動きの影響を除いても、日中、欧州、さらに世界を通して構造的ともいえる要因が「脱炭素」だ。

   欧州の多くの国では、発電の二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭からLNGに切り替える動きが強まっている。もちろん、LNGもCO2を排出するから、再生可能エネルギーの拡大が重要だが、風力、太陽光など天候にも左右されるため、再生エネルギーが増えるだけ、それを補うためにLNG依存は高まる面もある。

   中国も、習近平政権が2060年のカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)を掲げ、石炭火力の縮小に動き、LNG需要は高まる一方だ。21年1~7月のLNG輸入量は4545万トンと前年同期から約3割増えている。21年の年間では前年比16%増の7800万トンと調査会社が予測しており、前年から横バイの7450万トンと見込まれる日本を初めて抜き、世界一の輸入国になるのは確実。25年の輸入量は9300万トン、さらに2050年には日本の3倍以上に膨らむとみられる。いずれにせよ、「爆買い」が続くのは確実だ。

   2050年カーボンニュートラルを目指す日本は、近く閣議決定するエネルギー基本計画で、2030年度の電源構成でLNGは現行の37%から20%に引き下げると公式に決める。ただ、再生可能エネルギー36~38%、原発20~22%と、かなり高い目標を掲げており、それらが計画どおりに進まなければ、LNGでカバーするしかない。

   一方、供給面では、地球温暖化対策のため化石燃料への逆風が強まり、欧米のエネルギーメジャー(大手資本)はLNGを含め開発投資を減らし始めている。化石燃料の中では相対的にCO2排出量が少ないLNGではあるが、安定的に供給される保証はない。

   足元でLNGの需要が世界で拡大し、価格も上昇が続くとすれば、日本はどういう対応が必要なのか。一定期間はLNGに頼るしかないとすれば、LNG開発への資金投入を含め、より安く、安定的に確保する戦略が必要だ。

   長期的に脱炭素を図りながら電気料金も引き下げていくため、石炭、LNG火力発電の比率を下げていくとともに、再エネのコスト低減や送電網の増強などが欠かせない。

(ジャーナリスト 白井俊郎)

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