単身赴任を2回した澤田社長「あまりよくない」
――今回の転勤・単身赴任をなくす試みの一番の目的、狙いは何でしょうか。
広報担当者「業務変革やDX(デジタルトランスフォーメーション)、制度見直しや環境の整備を進めることによって、リモートワークを推進して、ワークインライフ(健康経営)の推進およびオープン、グローバル、イノベーティブな業務運営を実現するためです。
リモートワークが基本となると、業務に働く場所が制限されることがなくなりますから、自ら働く場所の選択が可能になります。結果的に転勤・単身赴任が不要になると考えています」
――澤田純社長は記者会見で「昭和の流れから、新しいスタイルに変えていきたい」と発言されていますね。澤田社長の発言の背景には、転勤について何か個人的な原体験があるのでしょうか。
広報担当者「澤田自身も2回単身赴任(1回はアメリカ)を経験しており、あまり単身赴任しないほうがいいと感じたとのことです」
――転勤・単身赴任をなくす試みは、具体的には今後、どういうプロセスで進めていくのでしょうか。その際、ネックとなる問題点や課題があるとすればなんでしょうか。
広報担当者「今後、持ち株会社を含めた主要会社で具体的な検討を進めていきます。課題としては、これまでの以上に『働く時間』と『働く場所』の自由度を高めていくことが必要になります。
そのためには、これまで導入・見直してきた諸制度、たとえば分断勤務(編集部注:1日の所定労働時間を分けて勤務すること、分割勤務とも呼ばれる)やスーパーフレックス(編集部注:従来のフレックス制度からさらに踏み込んで、働く時間や働く場所まで自由に自分で決められる制度)などのさらなる推進と定着を図ります。また、同時にワークプレイスの見直しや、サテライトオフィスの充実などの環境面の整備を進めます。
そして、リモートワークを基本とする働き方の促進に向けて、業務プロセスや情報管理などの社内ルール、評価や人材育成などをリモートワークに対応させていくように見直していく考えです」
――発表資料には「リモート前提社員の採用」とありますが、転勤・単身赴任をなくすには、やはりリモート作業が前提になるということでしょうか。その場合、インフラ関係など現場作業が中心でリモート作業ができにくい職種の従業員はどうなるのでしょうか
広報担当者「リモートワークが基本となることによって、結果として転勤・単身赴任が不要となります。お客様情報を扱うコールセンター業務や設備の保守や工事といった、現地での作業が必要となる業務についても、リモート化の取り組みを進めております。
また、リモート化の環境整備やセキュリティポリシーの見直しなどで、リモートワークが可能な業務を増やしていきます」