後継者への移行期間、企業の半数が「3年以上かかる」 コロナ禍で経営者の意識は変わったのか?

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   中小企業などの後継者問題が深刻化するなか、事業承継の際の後継者への移行期間には「3年以上かかる」とみている経営者は半数超の51.9%にのぼることが、帝国データバンクの「事業承継に関する企業の意識調査(2021年8月)」でわかった。9月14日の発表。

   経営者の高齢化などを要因に、全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%(同社「全国企業『後継者不在率』動向調査」2020年11月発表)だった。政府は企業の事業承継支援に力を入れているが、同社は「後継者不在による事業承継問題はこれまで以上に顕在化している」と指摘する。

  • 企業の事業承継には時間がかかる……
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移行期間「3年以上」中小企業が大企業を上回る

後継者への移行期間には「3年以上かかる」と答えた企業の経営者は51.9%と半数を超えた
後継者への移行期間には「3年以上かかる」と答えた企業の経営者は51.9%と半数を超えた

   調査によると、経営者に後継者への移行期間(後継者を決めてから事業承継が完了する期間。後継者の育成期間などを含む)を聞いたところ、「3~5 年程度」とする企業が 26.9%で最も多かった。次いで「6~9 年程度」が 13.8%で続き、「3年以上」を要すると答えた企業は 51.9%と半数を上回った。

   「1~2 年程度」が 11.3%、「10 年以上」が 11.2%。「移行期間を必要としない」は 8.9%だった=左円グラフ参照

   企業からは、

「後継者は決定しているが自社は技術系のため、3~5 年の育成期間が必要」(電気通信工事、鹿児島県)
「建設業は人材が資本で、中小では特に人材育成が課題」(はつり・解体工事、千葉県)
「スキルだけでなく経営者としての思考性が大事で、10 年以上はじっくりと時間をかけたい」(電気機械器具卸売、愛知県)

   といった声が聞かれたほか、

「移行期間が長いと後継者のリーダーシップが発揮できず、モチベーションも低下すると思うので、後継者を決めてからは 1 年以内に交代させたい」(鉄スクラップ卸売、福島県)

   など、必ずしも移行期間に時間をかけることがよいとはいえないとの考え方もあるようだ。

   後継者への移行期間を規模別にみると、3年以上かかる割合では「大企業」は41.0%だった一方で、「中小企業」では54.1%、「小規模企業」では55.7%と大企業より 10 ポイント以上高く、また全体の割合(51.9%)を上回った。

   中小企業からは、

「優良な中小企業も現在の相続税のルールでは後継者が借金を背負うことになるので困っている」(機械工具卸売、香川県)

   といった税制上の問題や、

「事業承継ができる人材を中小零細企業が見つけることはかなり困難」(生菓子製造、福岡県)

   などの声が聞かれた。

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