暗号通貨市場は大混乱だ。その原因は、中国人民銀行(中国の中央銀行)が暗号通貨(仮想通貨)の売買を始め、資金調達や派生商品の取引といった、すべてを禁止したのだ。
この動きに泣いたのが、北海道大学の渡部真人さん。保有していたLisk(リスク)をロスカットした。原本の1万円を割れたなか、なんとか勝機を探ってきたものの、再び大きな傷を負った。なんとも、市場は非情だ。
一方、イーサリアムに注目している明治大学のakiさんは、ビットコインやリップルと共に下降傾向にある市場をみて、「再度検討して購入するか否かを決めたい」と、次週にかける。慶応義塾大学の1028さんは多忙のため、取引を見送った。
背筋が凍るロスカット 資産激減!(北海道大学 渡部真人さん)
今週(9月20日週)の結果は、保有していたLisk(リスク)をマイナス3199円でロスカットした。暗号通貨バトルのルールである20%の下げ以上のところのロスカットだ。
ロスカットしたのは9月22日早朝。背筋が凍った。先週の原稿を提出した時点では412円と持ちこたえていたし、400円台からあまり動くこともないと高をくくっていたが、22日朝、残高を見ると301円ほどまで下がっていたのだ=チャート図を参照。
チャートを見たら、深夜のうちに大きく下がっていた。チャート図にあるように、資産は3598円まで減った。絶望以外の何物でもない。アルバイトをしたことがある大学生ならおわかりだと思うのだが、大学生が1万円を稼ぐことは容易ではない。私は現在ラーメン屋でアルバイトをしているのだが、この損失を埋め合わせるために、いったい何杯のラーメンを運ばなくてはならないのだろう。
話は脱線してしまったが、この1週間で仮想通貨を取り巻く状況は、かなり厳しくなっている。私がロスカットをしたのは9月22日だが、24日には中国人民銀行(中央銀行)が暗号通貨の決済や取引情報の提供などを全面禁止とすることを発表して、仮想通貨の価格は大きく下がったため、ロスカットは時間の問題であっただろう。
ビットコインは9%も下げた。もともと中国は中央銀行が発行するデジタル人民元以外の通貨を認めない方針であったため、この規制も想定外ではない。勝手な推測だが、仮想通貨は中国の富裕層の脱税方法として使われていたのではないか。
9月22日に大きく下がった理由は、やはり中国の巨大企業、恒大集団の経営危機にあると睨んでいる。18日に恒大集団が行った、返済代わりの不動産資産の「投げ売り」だ。不動産資産を3~5割の値引きで販売し、投資家たちの間で相場不安が高まり中国保険大手が6%下落。20日にビットコインは急落していた。株式相場にも影響が出たが、リーマン・ショックとは違い「影響は限定的」という見方が多く、世界的株安は長くは続かなかった。
日経平均株価は9月24日に再度3万円台まで上がっている。200億ドルの負債を抱える恒大集団がデフォルトになったとしても、世界の金融市場に大きな影響がでるほどではないというが、簿外の負債がないといいのだが。
その他にもFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ時期決定や日本の自民党総裁選、ドイツの選挙など9月はさまざまなニュースがあったが、巨大市場である中国での仮想通貨の全面禁止はやはり痛手であろう。今後の暗号通貨の選定にはより一層慎重な考察が要求される。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
恒大集団の問題に中国の仮想通貨禁止と、厳しい1週間でした。しかし、一番の要因は逆指値注文などのリスク管理がない取引プラットフォームを利用していた点ではないでしょうか。
bitFlyerの販売所でリスクを購入していたようですが、そこでは指値注文などを出すことができず、成行注文しか行えません。つまり、リアルタイムでしか決済ができず、相場が急落したらそれだけ損失が増えてしまう状況に置かれていたことになります。朝起きたら相場が暴落していて悲鳴を上げる「おはぎゃー」という言葉がありますが、注文を出しておけないポジションを保有する場合は常にそのリスクにさらされることになります。ポジションを翌日以降に持ち越す場合は、損失を限定できる注文を出せる取引プラットフォームを利用すると良いですね。
前週からの損益 マイナス3199円
9月24日現在 3598円
イーサリアム、買う?買わない??(明治大学 akiさん)
こんにちは。Akiです。
今週(9月20日週)は、イーサリアムの値動きに注目していました。しかし、チャートを見るとビットコインやリップルと同様に下降ぎみという印象を受けました。次週の初めに再度検討して購入するか否かを決めたいと思います。
中国人民銀行のホームページで発行された公示では、仮想通貨の売買を始め、借り発行のための資金調達や派生商品の取引といった、すべての関連金融活動を違法と規定されました。外国取引所がインターネットを通じて中国投資家に仮想通貨の取引を提供することも取り締まりの対象となり、決済サービス会社やインターネット会社などが法定通貨との交換を含む仮想通貨関連取引を提供できなくなります。また、仮想通貨関連取引の危険性に対する監視も強化すると付け加えました。
国内での仮想通貨全面禁止という措置は、中国に何をもたらすのでしょうか。仮想通貨は法定通貨ではないため中国政府の規制が及びにくい特徴があります。そのため、仮に仮想通貨を国内に取り入れると、中国政府が国内の金融リスクや資金の流れを把握しづらくなります。中国政府の管轄を離れたお金のやり取りを規制するために今回のような厳しい規制がかけられたのではないでしょうか。
さらに、今回の措置では中国国外の業者が本土の住民にサービスを提供することを防ぐためインターネット上でも取り締まるそうです。マネーロンダリングや違法な資金集め、詐欺といった、仮想通貨の用いられる可能性がある犯罪を未然に防ぐためにも規制は必要といえます。
中国の経済力が仮想通貨市場から手を引くともあり、これらのニュースは仮想通貨の価格は大きな影響を与えました。ビットコインの価格は5%、イーサリアムなどの他のコインは一時8%まで下落し、発表後しばらく下げ幅が拡大しました。今では確固たる経済基盤を誇る中国が、先の発展が望まれる仮想通貨の分野への参入を足踏みしているだけでなく避けているというのは少し引っかかりました。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
中国の仮想通貨規制によるイーサリアムへの影響は、軽微だと見られていました。しかし、中国向けサービスを停止していたイーサリアムマイニング大手のSparkPoolが操業停止を発表。これでハッシュパワー減少につながり、価格が下落することとなりました。同じだけのハッシュパワーに戻るまでは上値が重くなりやすいと思われます。また、中国の内モンゴルで1万台以上のマイニングマシンが押収されたと伝わっており、仮想通貨ネットワークの低下が懸念される事態が続いています。Coinwarzなどのサイトで、ハッシュレートを気にしてみてはいかがでしょうか。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月24日現在 1万1332円
◆ 多忙のため、取引を見送りました(慶応義塾大学 1028)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月24日現在 1万7円
◆ 大学対抗 1万円からはじめる暗号通貨バトルのルール学生投資連合USIC
・元本は1万円です。
・投資する暗号通貨の選定は自由です。ただし、国内で購入できる暗号通貨に限ります。
・レバレッジは、かけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)します。
・元本割れは1回まで。リベンジ(再投資)可能ですが、2度、資産(合計で2万円分)を失った場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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